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何を食べればいいの? ~その4~

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これから熱中症が心配になってくる季節ですが、皆さんはのどが渇いたら何を飲んでいるでしょうか? 体重の3分の2を占める水分だからこそ、どうやって摂るか、何から摂るかは、食べ物の内容や質と同じくらい大事なこと。今回はそんな話題です。日々の生活にぜひ役立ててみてください。

大西睦子の健康論文ピックアップ45

大西睦子 ハーバード大学リサーチフェロー。医学博士。東京女子医科大学卒業。国立がんセンター、東京大学を経て2007年4月からボストンにて研究に従事。

ハーバード大学リサーチフェローの大西睦子医師に、食やダイエットなど身近な健康をテーマにした最新学術論文を分かりやすく解説してもらいます。論文翻訳のサポートとリード部の執筆は、ロハス・メディカル専任編集委員の堀米香奈子が担当します。

引き続き、「何を食べればいいの?」その4です。

What Should I Eat?
The Nutrition Source /Harvard School of Public Health


まずはあらためてダイエット10か条から。

1) 質のいい炭水化物を選ぶ
2) いろいろな種類のタンパク質を食べる
3) ヘルシーなオイルを選ぶ
4) 食物繊維をたくさん食べる
5) さまざまな色(緑、黄、赤、橙)の野菜や果物を食べる
6) 減塩〜加工食品ではなく、フレッシュな素材がコツ!
7) カルシウムを摂取する
8) 何を飲むべきか考える
9) 適度な飲酒は健康的、でもあなたは違うかも
10) 総合ビタミン剤の活用

今回のトピックは、
8)の「何を飲むべきか」です。


私たち人類の直接の祖先である「ホモサピエンス」は、今から、約10数万年前にアフリカで誕生しました。その頃は、人類には、水か母乳しか飲むものはありませんでした。赤ん坊は母乳を飲んで、離乳したら、水を飲んでいたのです。その後、紀元前9000〜2000年頃に、ヤギや羊のミルクを飲み始め、飲み物からカロリーを摂取するようになりました。さらに紀元前8000〜4000年頃に、ビールやワインといったアルコールを飲むようになり、紀元前500〜西暦206年頃に茶が誕生したと言われています。この飲み物の歴史に関しては、以下の論文で報告されています。

Popkin BM.
Patterns of beverage use across the lifecycle.
Physiol Behav. 2010 Apr 26;100(1):4-9.
doi: 10.1016/j.physbeh.2009.12.022. Epub 2010 Jan 4.


ところが、最近の約50年間で、飲み物の歴史が激変したのです。例えば、、、


●コカ・コーラ

「コカ・コーラ」は、1886年5月、米国ジョージア州アトランタの薬剤師ジョン•ペンバートンによって誕生しました。コカ・コーラの名前は、当時の原料である、「コカインの葉とコーラの実」が由来です。実は、法律で禁止されるまで、コカ・コーラには微量のコカインが入っていたのです。

現在、全世界で1日に消費される清涼飲料の量は約50億杯で、そのうちの30%以上である 約16億杯をコカ・コーラ社の製品が占めているといわれていますから、コカ・コーラは、その激変の歴史の主役を担っていると思います。日本では、1961年にコーラの原液輸入が完全に自由化され、本格的に販売が始まりました。


●缶コーヒー

1969年に、世界初のミルク入り缶コーヒー、UCC上島珈琲の三色缶(赤•白•茶)が誕生しました。それまでは、びんや紙容器に入った「コーヒー牛乳」がほとんどでしたが、1970年の大阪万博で、レギューラーコーヒーに乳成分を加えた缶コーヒーが爆発的な人気を呼びました。

1973年には、ホット&コールドの自販機が登場し、飛躍的に、缶コーヒーの需要が増えて今日に至っています。現在では、缶コーヒーは年間100億本以上飲まれ、70%以上が自動販売機で買われているようです。


●スポーツドリンク

1965年、米国で「ゲーターレード」が開発されました。アメリカンフットボール選手の学生の熱中症および脱水予防のために、フロリダ大学の医学•生理学者ロバート•ケード博士によって開発されました。当時は粉末で提供され、必要に応じて水に溶かして用いられました。

日本には1976年に、粉末タイプのものが輸入されました。当時は運動中に水分を摂取することは望ましくないと考えられていたので、なかなか需要は増えませんでした。その後、スポーツ医学の発展で、運動中に適度の水分を補給することが推奨され、1980年に大塚製薬の「ポカリスエット」が登場しました。その後もアクエリアスなど、多くのスポーツドリンクが出現し、現在に至ります。


今では当たり前に手に入る炭酸飲料、缶コーヒーやスポードリンクですが、人類の歴史に比べると、本当につい最近に誕生したばかりなのです。新しい飲み物の多くは、カフェイン※1や糖分を含んでいます。さらに、色、香りやカロリー削減のために、食品添加物※2が使われるようになりました。最近の生活習慣病※3には、この飲み物の変化が大きく影響しています。


●一日にどれだけ水分が必要?

成人男性の体重の約60%、成人女性では体重の約55%が水分で占められています。ちなみに、体の水分量は性別だけではなく年齢によっても違い、赤ん坊は約75%、子供が約70%、老人が約50%です。

私たちは、じっとしていて汗をかかなくても、1日に約900mlの水分を、皮膚や呼吸から失っています。これを不感蒸泄と呼びます。さらに、尿や便として約1300〜1600mlの水分を排泄しますので、約2200〜2500mlの水分が運動をしなくても失われます。水は生命にとって不可欠で、体内で食べ物の栄養素の運搬や、廃棄物の排泄、体温の調節に大切な役割を果たしています。ですからその分、水分を補給しなければなりません。

私たちは、食事から約600〜1000ml、食べ物の栄養素が燃焼してエネルギーを発生するときにできる水(=代謝水)から約200〜300mlの水分を摂取しています。ですから、残りの約1L〜1.5Lを、毎日飲料水から、こまめに摂取しなければなりません。運動などで、発汗が多い時は、さらに多くの水分の補給が必要になってきます。また、腎臓や心臓の機能が弱い方は、水分制限に関して医師の指示が必要になってきます。


●何を飲めばいいの?

栄養疫学研究の第一人者であるハーバード大学公衆衛生院のウォルター・ウィレット教授ら6人の研究者たちは、飲み物と健康に関する科学的な証拠をレビュー※4し、6つのレベルに飲み物のランキングを分類しました。その結果、最高のレベルを獲得したのは、水でした。ただし、水だけがヘルシーなわけではなく、他にも選択肢はあります。それでは、ランキングの詳細を見てみましょう!


●レベル1:水

水は、代謝※5、呼吸、発汗、廃棄物の除去などのために失われた水分を補給するために、最適な飲み物です。水を飲むと、喉の乾きが潤い、体のシステムがリフレッシュします。


●レベル2:紅茶、コーヒー、緑茶

水の次に、茶とコーヒーは、最も一般的に消費されてきた飲料です。糖分とクリームを入れすぎなければ、低カロリーで、抗酸化物質※6、フラボノイド※7などを含み、一日3〜4杯までの摂取は、健康に良いと考えられています。緑茶の心臓病予防やコーヒーの2型糖尿病※8予防の効果は期待されています。ただし、特に妊娠中のカフェインの摂り過ぎは、胎児への影響が懸念されますから、注意が必要です。


●レベル3:低脂肪乳やスキムミルクと大豆飲料

牛乳は、カルシウム※9、ビタミン※10、脂質やタンパク質などの栄養素のよい供給源になります。ただし、牛乳は飽和脂肪酸※11が多く含まれているため、低脂肪乳やスキムミルクと大豆飲料が代用となります。一日の適量は、大人で1〜2杯、成長期の子供で2杯までと言われています。子供に対する低脂肪乳の使用は議論があります。以下のコラムを参照して下さい。

「低脂肪乳で子供が肥満に?」(ロバスト・ヘルス)


●レベル4:人工甘味料を使った低カロリー飲料

最近の飲み物市場で急成長しているのが、さまざまな人工甘味料※12を使用した低カロリー飲料です。多くの方がダイエットの目的で使用されていると思います。ところが、本当に低カロリー飲料がダイエットに効果があるのか疑問視されています。なぜなら、ダイエット飲料が、肥満や糖尿病の原因になることが報告されてきたからです。ですから、ダイエット飲料を水の替わりに習慣的に飲むのではなく、時々飲んだり、砂糖入りの清涼飲料水をよく飲んでいる方が、健康的な飲み物に切り替えるときの移行期に利用するのはいいと考えられています。


●レベル5:カロリーと栄養素を含む飲料

このカテゴリーの飲み物は、フルーツジュース、野菜ジュース、牛乳、スポーツドリンク、ビタミン入り飲料及びアルコール飲料などです。それぞれに長所と短所があります。

100%フルーツジュースは、果物の栄養素を含みますが、飲み過ぎるとエネルギーの過剰摂取になります。米国食生活指針は、毎日の果物の摂取量の一部として、100%フルーツジュースの摂取を一日1杯までとしています。野菜ジュースはフルーツジュースより低カロリーですが、塩分を多く含むことがあります。

一日、コップ1〜2杯の牛乳は、カルシウムなどのよい供給源になります。摂り過ぎは、飽和脂肪酸、レチノール(ビタミンA)※13の過剰になりますので、注意が必要です。

スポーツドリンクは、ミネラルの補給を高率にできますが、種類によっては、糖分をたくさん含むことがあります。スポーツドリンクは、1時間以上の持久力が必要な運動をするアスリートに有用とされます。運動をしない場合は必要ありません。ビタミン強化された飲み物も、毎日ビタミンを食べ物から摂取すれば必要はありませんし、甘い飲み物にビタミンが追加されたものでは、健康的な選択肢とは言えません。アルコールは、いくつかの利点と欠点がありますが、次回のトピックとしましょう。


●レベル6:加糖飲料

最下位は、加糖飲料でした。砂糖や異性化糖※14をたくさん使った清涼飲料水などは、高カロリーで、糖分以外の他の栄養素がありません。毎日飲み続けると、肥満や糖尿病の原因になります。


●具体案

飲み物からのカロリーは毎日の摂取カロリーの10%未満が理想です。例えば、一日2,200カロリーの摂取が必要な場合は、220カロリー以下ということになります。一日1.5 Lの水分が必要な場合:

オレンジジュース1杯200ml=84kcal
砂糖クリーム入りコーヒー1杯200ml=43 kcal
緑茶200ml=0kcal
低脂肪乳コップ1杯 200ml=97kcal

これで約220カロリー、800mlです。必要とされる残りの水分700mlは水で補給できますね。毎日500mlの水を持ち歩くと、いつでも水分の補給ができて、一日にどれだけ水分を摂取したかわかりますので、とても便利で、しかも健康的ですよ。是非、試して下さいネ!

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