全国の基幹的医療機関に配置されている『ロハス・メディカル』の発行元が、
その経験と人的ネットワークを生かし、科学的根拠のある健康情報を厳選してお届けするサイトです。
情報は大きく8つのカテゴリーに分類され、右上のカテゴリーボタンから、それぞれのページへ移動できます。

何を食べればいいの? ~その3~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

大人から子供まで、しきりに摂取が叫ばれるのが「カルシウム」ですよね。足りなくても多すぎてもいけないようですが、摂りすぎについては日本人はまず心配なさそうです。足りないとどうなるのか・・・効率的に摂取するアドバイスもあわせて見ていきましょう。

大西睦子の健康論文ピックアップ44

大西睦子 ハーバード大学リサーチフェロー。医学博士。東京女子医科大学卒業。国立がんセンター、東京大学を経て2007年4月からボストンにて研究に従事。

ハーバード大学リサーチフェローの大西睦子医師に、食やダイエットなど身近な健康をテーマにした最新学術論文を分かりやすく解説してもらいます。論文翻訳のサポートとリード部の執筆は、ロハス・メディカル専任編集委員の堀米香奈子が担当します。

先週に引き続き、「何を食べればいいの?」その3です。

What Should I Eat?
The Nutrition Source /Harvard School of Public Health


まずはあらためてダイエット10か条をおさらいしておきましょう。

1) 質のいい炭水化物を選ぶ
2) いろいろな種類のタンパク質を食べる
3) ヘルシーなオイルを選ぶ
4) 食物繊維をたくさん食べる
5) さまざまな色(緑、黄、赤、橙)の野菜や果物を食べる
6) 減塩〜加工食品ではなく、フレッシュな素材がコツ!
7) カルシウムを摂取する
8) 何を飲むべきか考える
9) 適度な飲酒は健康的、でもあなたは違うかも
10) 総合ビタミン剤の活用

今回のトピックは、
7)の「カルシウム」です。カルシウムは、私たちの老化に深く関わっています。


私たちの体型は、加齢とともに自然に変化しますよね。避けることができない変化もありますが、私たちのライフスタイルで、進行を遅くすることができるものもあります。


私たちの体は、筋肉、臓器、脂肪、水分や骨などからできています。一般に、30歳頃をピークに筋の萎縮が始まり、筋肉量は減ります。骨はカルシウムなどのミネラルを失い、骨密度が減り、骨減少症※1や骨粗鬆(しょう)症※2が起こります。そして、これらの組織を失うことで、体の水分も減ります。一方、30歳以降は、体脂肪が着実に増えていきます。体脂肪は、体の中心に向かって増えていき、内臓の周りを埋めていきます。皮下の脂肪層は薄くなります。


また、男性も女性も、人種を問わず誰もが、加齢と共に身長が低くなります。身長が低くなる原因は、骨、筋肉そして関節の加齢が原因となっています。典型的には、40歳以降に、10年ごとに約1cmの身長を失います。特に70歳以降は、さらに急速に身長が低くなると言われています。体重の変化は、男女の差があります。多くの男性は55歳くらいまで体重が増えますが、その後は減ります。これは、男性ホルモンのテストステロンの低下が関係しているとも言われています。女性は65歳くらいまで体重が増え、その後は減り始めます。体重減少の原因は、筋肉が減り、そのかわりに脂肪が増えることにあります。


さて、南カリフォルニア大学、北京大学とハーバード大学の研究者らは、17,708人の中国人を対象に、45歳以降の、加齢にともなう身長の変化と健康との関係について大規模追跡調査を行いました。世界で最も人口が多い中国は、日本と同様に、高齢化社会が深刻な問題です。

Wei Huang, Xiaoyan Lei, Geert Ridder, John Strauss, Yaohui Zhao.
Health, Height, Height Shrinkage, and SES at Older Ages: Evidence from China.
American Economic Journal: 2013; 5(2): 86


結果は、60歳以上の参加者において、男性で平均3.3cm、女性で平均3.8cmの加齢に伴う身長の低下を認めました。ただし、身長の低下率には、社会経済的要因が大きく影響しました。都市居住者では、農村部居住者に比べて身長の低下が少なく、また、小学校を修了した人は、そうでない人に比べて、男性では約0.9 cm、女性では約0.6cm、身長の低下が少なめでした。さらに、身長の低下が、記憶や思考力などの認知機能の低下に関係することが判明しました。


共著者のJohn Strauss教授(南カリフォルニア大学)は、私たちの加齢には、人生における初期のさまざまな出来事だけではなく、大人になってからのライフスタイルが影響するとコメントしています。


ということで、私たちは健康的な食生活と運動で、体重や身長の変化を予防できるのです。そこで今回は、カルシウム摂取と骨への影響に関して考えましょう。「骨を丈夫にするために、カルシウムを摂りなさい」という話はよく耳にしますよね。でも、具体的に、どれだけ、何を、何のために摂ればいいのでしょうか。


カルシウムは、体内で最も多いミネラル※3で、体重の1~2%を占め、その99%が歯と骨に存在します。残りの1%は、血液や細胞外液などに存在し、神経の情報伝達や筋肉を動かすために重要な役割を果たしています。


一日に必要なカルシウムの摂取量は、年齢、性別で異なりますが、成人男性で800mg、成人女性で650mgが推奨されています。骨粗鬆症の治療ガイドラインでは1日800mgのカルシウムの摂取が推奨されています。ところが、日本人のカルシウム摂取量は、ほとんどの年齢層で1日600mgを下回っています。ちなみに、カルシウム摂取の許容量上限は2300mg/日です。日本人の通常の食事では過剰になることはまずありません。カルシウムは一時的に大量に摂取しても意味がありません。毎日継続してとりつづけることが必要です。以下のカルシウム摂取のポイントを参考にして下さい。


1.乳製品:

乳製品の摂り過ぎは、飽和脂肪酸※4、レチノール(ビタミンA)※5の過剰になりますので、牛乳なら、一日、コップ一杯から2杯で十分です。牛乳にはコップ1杯( 200ml)にカルシウムが227mg含まれています。乳製品以外の、緑黄色野菜、海藻、大豆製品や小魚など、いろいろな食品からカルシウムをとるようにして下さい。カルシウムの吸収率は食品で異なります。例えば、乳製品50%、小魚30%、 緑黄色野菜や海藻で20%です。さらに年齢によっても吸収率が異なります。


2.ビタミンD※6:

カルシウムが腸から吸収されるために、ビタミンDが必要です。ビタミンDは魚肉やキノコ類などの食品に多く含まれます。成人におけるビタミンDの1日あたりの摂取量は、5.5μgと設定されていますが、骨粗しょう症予防のための目標量は10~20μgです。例えば、焼き紅鮭100gあたり、38.4ìgのビタミンDが含まれています。またビタミンDは、食事からだけではなく、日光浴により皮膚でもつくられます。ビタミンDを合成するには、晴れた日なら10~15分、曇っていれば30分程度屋外で過ごすだけで十分です。


3.定期的な運動:

無理に激しい運動をする必要はありませんが、ウォーキングやジョギングなど、特に骨に繰り返し体重負荷がかかる運動は、強い骨を構築し、維持します。


4.リン酸:

加工食品、インスタント食品、炭酸飲料などにはリン※7が多く含まれていますので注意が必要です。リンは体に必要な栄養素ですが、多くの食品に含まれているので、不足することはまれであり、むしろ過剰摂取が問題となってきています。過剰に摂取すると、カルシウムの尿中への排出を促進します。またカルシウムの腸からの吸収を妨げますので、とりすぎに注意しましょう。


5.カルシウムのサプリメント:

カルシウムのサプリメントは、一般の食事より吸収率が高く、服用後に血中のカルシウム濃度を急激に高めます。狭心症、心筋梗塞のリスクが上がるという報告もありますので、なるべく食品から、カルシウムを摂取しましょう。カルシウムサプリメントを使う場合は、医師に相談して下さいね。


生涯、私たちの体を支えてくれている「骨」のためにも、乳製品、魚や野菜などをバランスよく摂取して、そのエネルギーを利用してアクティブに動きましょう。そうすれば、強い骨や筋肉が維持できて、余分な脂肪も減ります。「年齢を重ねる」加齢は誰しも避けられませんが、「肉体的に衰える」加齢は誰でも予防できるのです!

1 |  2 
  • ロハスな商品を厳選してお届け! HAPPY GRIN
  • Google+
  • 首都圏・関西でおなじみ医療と健康のフリーマガジン ロハス・メディカル
月別アーカイブ
サイト内検索