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心エコー検査 将来は聴診器に換わる可能性も
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検査の現場から3
東京大学検査部 竹中 克
心エコー検査は、超音波を利用した心臓・血管の検査です。超音波を探触子から発射して、心臓にあたって返ってきた超音波で心臓を描出します。
超音波には周波数(1秒あたりの波の数)がありますが、動いているものに当たって反射する時には周波数が変わります。言い換えると、近づいてくる汽車の汽笛は高い音に聞こえるというあのドップラー効果を利用して、心臓や血管の中を流れる血液の速さを測ることも可能なのです。この計測結果に色を付けて心エコーと一緒に表示すると、収縮と拡張を繰り返す心臓の中で血液が流れている様子を観察できます。これらの情報が、すべて、ただ探触子を体にあてるだけで分かります。
通常の超音波検査に害はないでしょうか? メガネ洗浄器や病院の消毒機器にも超音波が使われています。つまり、超音波により汚れを落としたり細菌を殺したりできるわけです。しかし、検査用の超音波はこれらよりはるかに弱い超音波を使っているので、通常の超音波検査では人体に害はありません。ちなみに、はるかに強い超音波を使えば、尿路結石を破砕することすら可能です。
通常の心エコー検査ではゼリーを塗って胸に探触子をあてますが、探触子を置く位置は胸だけではありません。おなかから心臓を見たり、首や下肢にあて、そこを走る血管を検査することもできます。また、胃カメラの先に小さな探触子をつけて食道や胃から心臓を検査する経食道心エコー検査、またカテーテルの先端に探触子をつけて血管の中や心臓の中に入れて詳細な情報を得る方法もあります。
以上、心エコー検査は循環器疾患の診療に欠かせない検査で、提供する情報は膨大であるにもかかわらず、最近では重さ1.5kgくらいのポータブル心エコー検査装置も普及し始めており、やがては医者の首からぶら下がっている聴診器を駆逐してしまう可能性も否定できません。