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睡眠のリテラシー30
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高橋正也 独立行政法人労働安全衛生研究所作業条件適応研究グループ上席研究員
今やインターネット、携帯電話、スマートフォンを使わない日はありません。歩きながら使うこともできます。前の人の進みが遅いので仕方なく追い越すと、たいてい画面を眺めています。
インターネットであれ、携帯電話であれ、プライベートの時間であれば、基本的には本人の自由で使えます。ところが、仕事中であれば話は違います。インターネットで色々なサイトを見たり、電子メールを取り交わしたりするのは、あくまで仕事に関係のある場合に限られます。
とはいえ、会社のパソコンでもって、仕事には必ずしも関係のない所につい出かけてみたくなってしまいます。会社の電話をプライベートの要件で使うのを私用電話と呼びますので、この場合は「私用インターネット」と言えましょうか。
私用インターネットを行う理由は様々ありますが、もしかしたら、前の晩にきちんと眠っていなかったせいかもしれないという発表が最近ありました。
実験に参加した大学生は、ある大学の教授による講義をビデオで42分間見ます。この教授は大学生の通う大学に就職を希望しています。大学生は、その講義がどのくらい上手か、その教授を雇う価値がどのくらいあるかを評価するように求められました。さらに、学生による評価は大学側にとって貴重な資料となるので、ビデオをしっかり見てくださいとも強調されました。
各学生は一人ひとりに割り当てられたパソコンの画面で講義を見ます。このパソコンには実は仕掛けがあって、ビデオが流れているときに彼らが私的インターネットをどのくらい行うかをこっそり監視できました。
ビデオに集中しなければならないのに、監視記録によると、大学生は平均で6分間ほど私的インターネットを行いました。これはビデオ視聴という"仕事"の14%にあたります。
大学生はビデオ講義の前の晩に小型の睡眠センサーをつけて眠りました。これにより、睡眠の長さと質が客観的に分かります。睡眠のデータと私的インターネットに費やす時間との関連を調べると、睡眠時間が短くなるにつれて、また睡眠の質が低下するにつれて、私的インターネットの時間は長くなることが分かりました。
インターネットの世界には仕事に関係するかどうかにかかわらず、面白くて魅力的なサイトがたくさんあります。であっても、職場で仕事以外の情報の収集に明け暮れると、給料泥棒と言われても仕方ありません。そればかりか、サイトの中にはよからぬ所もあり、注意をしないと会社の重要な情報が盗まれたり、コンピューターウィルスに感染したりします。
このような危険性をはらむから、私的インターネットはダメと、自分でしっかり判断しなければなりません。しかし、ろくに眠っていないと、こうした真っ当な判断がどうも怪しくなるようです。