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なぜ行政を信用できないか~阿部光裕和尚の話

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 行政もマスコミも、そういうところを取り上げるんですわ。だけど、私が教えてほしいことがあります。例えばこれです。ヨウ素というのは一体どれ位出たんですか? ヨウ素って、どれ位ばらまかれたんですか? どれ位落ちてきたんですか? そのデータは取ったんですか? スズカンさん(会場にいた鈴木寛・前文部科学副大臣)、取ったんですか? 取らないんですよ。取っていないんですよ。見たことないです。見たことないんですよ。それを見せないでおいて、大丈夫だと言えますか? これを論理的って言えますか? つまり、ヨウ素は全く分からないです。
 ちなみに5月20日に私のふるさと近くで、10センチ立方体で土を採取しまして、その放射線核種を調べました。そうしたら、ヨウ素が5月20日ですよ、10センチの立方体で、5月20日に524ありました。どういうことでしょう。8日が半減期です。8日前は1,000。16日前が2,000。追いかけていきますと、震災のちょうど落ちてきた頃、128,000ベクレルです。10センチ平米に。これはいわゆる耕起していない田んぼ。混ぜていない田んぼから取っていますから、見事にその量が降ってきたことが分かります。実際に降り注いできたのを1平米に直すと1,280万ベクレルですよ。そうすると、これだけのものが降り注いでいて、1分間で40リットル位我々は呼吸で空気を吸うわけですから、甲状腺に嚢胞があるとか結節がある、しこりがあるとかという時に、「大丈夫だ」と言われて、「ああそうですか」と言う親がいると思いますか? それが言わないわけですよ。これこれこうだから大丈夫だと言わないわけですよ。他の地域でもこのように甲状腺の検査をしました。その結果、やっぱり今は非常に優れていまして、40%から50%の子供たちにはしこりその他が見つかります、というふうに言っていただいたら、ある程度信用するかもしれない。ところが、一切そういうものは提示されないで、「大丈夫です。安心して下さい」。そして、病院に行こうとすると、今福島の病院では診察を拒否されるわけですよね。診てもらえないわけです。これは、山下なる人が、ちゃんと文書でこれは正式に出していないとか言うけど、明らかに今すでに公開になっていますがそういう文書で出ていますから、病院は一県一医大政策の下に白い巨塔となった医大の言うことを、地元の先生たちは聞くしかない。だから、その通りにする現状は実際にあるわけです。ですから、みんな秋田とか、こっちの関東とかこっちに来て皆診てもらっているというのが現状です。そういう現状の中で、行政を信じろとか医者を信じろとか、誰が信じるんですか。そして、お互いが作る作らないでお互いの意見を、それまで何もなかったところに争いを産んで、そして苦しいわけです。そういう中で、生活をしている。
 何かやらなくちゃいけないと思って、坊さんですから、坊さんは人の苦悩に寄り添うのが坊さんですから、法事やその他でお経を読むのを坊さんと言うのではありません。苦悩に寄り添うことをもって坊さんと言うんです。つまり、人の痛みが分からない人は、キリスト教の牧師であろうと仏教の坊さんであろうとまったく存在意義がないということです。ですから、私は去年の6月にどうしても線量が下がらない、そこから逃げるわけにもいかない、もうどうすればよいのだろうと髪の毛を上げたら円形脱毛症になっていたお母さんがいて、この人に笑顔を戻したいなと思って、そこの土を除染して預かりました。そういう活動から始めて、今に至って今年に入ってから延べ1,500人位の県外ボランティアを募って、除染を毎週のようにやっています。皆さん手弁当でお寺に来て泊まって、そして除染を一緒にやってもらっています。行政がやることはいつも横槍しか入れません。協力は何一つしません。一銭ももらったことはありません。明後日も行政の方でわざわざうちのお寺に指導に来られて横槍を入れるんですね。これが行政です。
 ですから、本来であれば、どれ程我々が願っているか分からないことは、行政も民間もお医者さんも、それぞれの立場できちんと連携をしてお互いにこういう苦難な時は、非常時の時は乗り越えていくべきだという風に思うのですが、どうしても縦割りにしか考えないと。これに尽きるのではないかと。ですから、私はよく官僚制の逆機能が働いて、マートンが言うところの官僚制の逆機能が働いて、それが一番の復興の壁になっているという風に表現をしております。
 あまりこれ以上話すと、本当に実名でズバズバやりすぎまして、前に福島県の内堀という総務省上がりの、しかも総務省を辞めて来たものですから、背水の陣で副知事に就いてやっているものですから、なかなかその立場をとにかく死守しなければいけないということで、この人はオフサイドセンターという所をあっという間に撤収して逃げ帰った人なんですけど、この内堀さんに対して、ラジオで「おい内堀。外堀から埋めるぞ」とよく言っているのですけど。
 養老孟司先生が、あの人の生前葬を私がやったものですから、私にメッセージをくれました。「この震災という経験を生かすも殺すもあなた次第です」こういうメッセージです。「この震災という経験を生かすも殺すもあなた次第です」と。実は私はいつも全国各地に講演に回っていますが、その中で言うのは、「福島の子供は幸せだ」とこういう風に言います。ひどいんですよ。本当にひどい状況なんです。海沿いの方はね。例えば親とか子供といっても兄弟ですね、目の前で流されていって、自分だけが助かったという子供もいるんですよ。なおかつ放射能でしょ。そういう中で、それぞれが結構やっているんです。でも、こうやって皆が力を合わせて何とかこの苦難を乗り越えてもらいたいというもの凄いパワーが今福島に向けてくれていることも事実なんです。忘れている人もいるでしょう。でも、心ある人はちゃんと向けてくれています。そういう環境で、育つことができるという、そういう環境で生きることができる、その苦境を乗り越えて成長することができるという、そのポジションを与えられた立場を与えられた福島の子供たちは幸せだという風に思っております。
 どうか優しくだけじゃなくて、厳しく福島の子供たちに温かい目とお心を注いでいただきたいということをお願い申し上げまして、私の話といたします。ありがとうございました。

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