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「腎臓が寿命を決める」ーー添加物のリンのせいかも!?
昨夜のNHKスペシャル「シリーズ 人体 神秘の巨大ネットワーク 第1集 "腎臓"が寿命を決める」、ご覧になりましたか? 血中リンの過剰が血管を石灰化させる話、出てきましたね! ロハス・メディカルでも、繰り返しその問題点と解決策をご紹介してきました。
堀米香奈子 ロハス・メディカル専任編集委員
ロハス・メディカルでは、2016年5月号からの年間特集「血管を守る」の初回から4回にかけて取り上げ、その後「リン酸探検隊」コーナーが引き継いだ「リン過剰が老化を早める」話。昨夜のNHKスペシャルでは、リン排泄が出来ないマウスがどんどん老化してしまう映像が流れました。そして白く骨化した血管の画像も...。
ただ、番組ではリンの摂取源のことや、リン過剰だと何がどうなって血管を石灰化したり腎臓を傷めたりするかについては、ほとんど踏み込んでいませんでした。
もう少し詳しく知りたい、という方は、「血管を守る」特集をどうぞ。
●血管を守る1「動脈硬化の共犯 リン酸カルシウム」
●血管を守る2「リン排泄役の腎臓 リンで傷む悪循環」
●血管を守る3「控えようリン酸塩 摂ろうマグネシウム」
そして実は、それをもっとざっくりまとめてあるのが以下の記事。イラスト(漫画風)入りで読みやすいですよー。
●リン酸探検隊1「加工食品は老化を早める?」
ここでも一応ざっとおさらいしますと、まず懸念すべきは、誰もこれまでリン過剰を問題にしてこなかったことです。何しろリンは栄養素で、不足こそ良くないとされてきましたが、「リンは摂り過ぎたらいかん」なんて聞いたことないですよね? やれ「アブラはいかん」だとか、「コレステロールはダメ」「塩分もよくない」だとかは、もはや念仏のように唱えられているのに...。
リンは適量を適切な形で摂るなら、特に腎臓に問題を抱えていない限り、全く問題ありませんし、むしろ必要です。不足が問題になるのは、食糧難で満足に食べられずに人が亡くなってしまうような国でのこと。リンは元々細胞膜の構成要素なので、あらゆる食材に含まれています。特にタンパク源となる食品に多く含まれていて、飽食の日本では毎日の普通の食事だけで充分摂れてしまいます。
問題は、リンは「栄養素だから」と野放し状態であること。実際、食品添加物である「リン酸」「リン酸塩」(リン酸ナトリウムなど)は加工食品に大量投入されています。入れてしまえば無色無臭、保存性を高めたり、食感を良くしたり、と何役もこなし、その上とても安価。非常に優秀な添加物なのです。
しかも、食材に元から含まれる天然のリン(有機リン)と違って、食品添加物の場合は「無機リン」と言って、とても吸収されやすい状態になっています。摂ったら摂っただけ体が吸収して血中に入ってしまう、と考えておくべきなので、摂取過剰が問題になるのです。
やはり、そろそろ気づかないとまずそうです。摂り過ぎてよい添加物なんてない、というのは基本中のきほん、ですよね。
さて、昨夜のNHKスペシャルの再放送は、10月5日(木)21時~だそうです。見逃された方、もう一度見たい方、チャンスですね。血管を守って老化を遅らせたい方、リンに興味を持たれた方、あるいは黒尾教授のお顔をぜひ拝見したい方にも、おススメです!