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がん 免疫との関係

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

49-1-1.JPG自分の細胞であるがんに対して免疫機構は働かないという説が以前ありました。
しかし、事実は違います。
監修/河上裕 慶應義塾大学教授
     釣田義一郎 東京大学医科学研究所病院講師

相対的な力関係

 がん細胞は遺伝子に何らかの異常を来たした結果(突然変異と言います)、①分裂・増殖し続ける②侵潤・転移する(06年11月号参照)という、普通の細胞とは大きく異なる2つの性質を持つようになります。
 変異が起きるのは、細胞分裂の際に遺伝子のコピーエラーが起きるとか、体内で産生される活性酸素が遺伝子に傷をつけるといったように体内に原因がある場合と、放射線とか紫外線とかタバコの煙に含まれる化学物質など、環境側の原因で遺伝子に傷のつく場合とあります。後者は、発がん性物質と呼ばれていますね。ウイルスや細菌にも、そういう性質のものがいます。
 いずれにせよ、私たちの体の中では、誰でも毎日数千個の変異細胞が生まれていると考えられています。
 変異細胞は通常そのまま死んでしまうか、免疫に殺されるかしているのですが、何らかの拍子にたまたま免疫をすり抜けるものが出現し、それが10年ほど増え続けた結果、肉眼に見える腫瘍へと成長します。1cmほどの大きさになった腫瘍の中には、がん細胞が約10億個詰まっています。
 最初のすり抜けさえなければ、がんなど発症しないわけで、なぜすり抜けるかが気になります。
 これには、変異細胞が増殖の段階で免疫に対する抵抗性を持ってしまう場合と、免疫の力が落ちた場合とがあります。免疫の落ちる主な原因としては、加齢、疲労、ストレス、睡眠不足、栄養不足、何らかの病気などが挙げられます。
 血液がんの白血球やリンパ腫のように免疫細胞そのものが、がん化する場合もあります。
 免疫は、がん細胞を敵と正しく認識できたなら、排除しようと活動を始めます。しかし、いったん増殖を始めたがん細胞は、免疫に発見されないよう、攻撃を仕掛けられないよう巧妙に立ち回ります。
 さらに、肉眼で見えるような腫瘍には、先ほども述べたようにがん細胞が10の9乗個も存在します。対して全身の免疫細胞全部を合わせても10の12乗個しかなく、しかもがんを攻撃できるものは、ごくごく一部。多勢に無勢になって、やっつける以上のスピードで増えます。つまり肉眼で見える段階まで来てしまったら、何もせず免疫だけでがんを退治するのは、まず不可能です。
 さらに、がん細胞は、免疫の力を落としていく(免疫抑制と言います。最終項で説明します)性質も持っています。いったん力関係が逆転すると、その後は加速がついていきます。

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