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ビタミンKはインスリン感受性を高める

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 Framingham Offspring Studyコホートで、緑色野菜に多く含まれるフィロキノン(ビタミンK)摂取量と、インスリン感受性およびグルコース恒常性との関連を調べた結果、ビタミンK摂取量が多い方が、インスリン感受性を高めることが分かりました。

Phylloquinone intake, insulin sensitivity, and glycemic status in men and women1-3
Makiko Yoshida, Sarah L Booth, James B Meigs, Edward Saltzman, and Paul F Jacques
Am J Clin Nutr 2008;88:210 -5
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川口利の論文抄訳

発行人の実兄。上智大学文学部卒。千葉県立高校の英語教師在任中に半年間の英国留学を経験。早期退職後に青年海外協力隊員となって、ホンジュラスで勤務、同じく調整員としてパナマで勤務。

●背景

 エビデンスが、グルコース恒常性におけるビタミンKの潜在的に有益な役割を示している。ビタミンKの主たる食事形態はフィロキノンであり、緑色野菜と特定の植物油に集まっている。低フィロキノン餌を食べたラットは高グルコース濃度となり、高フィロキノン餌を食べたラットと比較して、グルコース静注に対するインスリン応答が遅れた。健康な日本人男性の臨床研究では、ビタミンKの短期間栄養補充が、ベースライン時にビタミンK状態の低かった群で、急性インスリン応答と末梢組織内でのグルコース処理を改善した。これらの研究結果は示唆に富んでいるが、グルコース代謝におけるビタミンKの役割に関して入手できるデータは限られており、ビタミンKとグルコース恒常性との関連の陰にある潜在的な仕組みはよく分かっていない。ビタミンKは、凝固因子を含む特定蛋白質および骨形成蛋白質であるオステオカルシンにおける、γカルボキシグルタミン酸残基の形成に特定の補因子である。オステオカルシン・ノックアウトマウスのモデルからのデータが、オステオカルシンはインスリン感受性とインスリン分泌に関係しているかもしれないことを示している。

 今のところ、地域密着型標本におけるフィロキノン摂取とインスリン感受性および血糖状態測定との関連に関する公表データは存在しない。本研究では、フィロキノン摂取とインスリン感受性および血糖状態両方との横断的関連を、Framingham Offspring Studyに参加している男女において、空腹時および2時間後経口ブドウ糖負荷試験によるインスリンおよびグルコース濃度、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、HOMA-IR、インスリン感受性指数(ISI 0,120)測定により調査した。より高いフィロキノン摂取は、より大きなインスリン感受性と関連があり、男女における血糖状態を改善するとの仮説を立てた。

●方法

(1)対象者
 1991~1995年に実施された、Framingham Offspring Study5回目検査期間に、3,799人が、包括的質問票、人体測定、血液化学、身体測定を含む広範囲検査を、心血管および他の危険因子評価とともに受けた。無効な食事情報により381人、空腹時インスリンまたは血糖データ不備により143人、糖尿病により324人、ビタミンK拮抗ワーファリンを含む抗凝血剤使用により21人、主要共変数データ不備により211人、合計1,080人が除外され、最終標本規模は、男性1,247人、女性1,472人、合計2,719人となった。

(2)フィロキノン摂取評価
 半定量食物摂取頻度調査票(*2)により、過去12カ月間の日常食事摂取量が評価された。質問票は対象者に郵送され、記入済みの調査票を検査日に持参した。食物摂取頻度調査票には標準的1食分単位による食品リストがあり、1カ月にゼロまたは1人前未満から1日に6人前超まで9段階の摂取頻度選択肢が用意されていた。フィロキノン摂取量は、それぞれの食品の摂取頻度×特定割合のフィロキノン含有量で算出された。ビタミンやミネラルの補充食品に関する質問も入っており、フィロキノン摂取量は、食事からと補充食品からの両方を含めた。食物摂取頻度調査票のデータは、1日あたりの総エネルギー摂取量が600kcal以上で男性は4,200kcal未満、女性は4,000kcal未満、空欄が13未満の場合に有効とされた。

(3)インスリン感受性測定
 8時間以上絶食後の空腹時血液サンプルが採取され、血漿および血清サンプルは-70℃で保存された。以下の測定が実施された。
1 血漿インスリン濃度
2 血漿グルコース濃度
3 2時間後経口ブドウ糖負荷試験による血漿インスリンおよびグルコース濃度
4 HbA1c
5 HOMA-IRおよびISI 0,120を算出

(4)共変数
 以下の共変数を考慮に入れた。
1 年齢
2 性別
3 腹囲 立位にてへその位置で測定
4 身体活動 自己申告による24時間活動歴を代謝相当スコアに換算
5 喫煙 前年の日常的喫煙(ある・ない)
6 アルコール摂取 g/日
7 エストロゲン使用 検査時での経口結合型エストロゲン使用(ある・ない)
8 マルチビタミン補充食品使用 検査時での使用(ある・ない)
9 総エネルギー摂取量 kcal/日
10 総繊維摂取量 g/日
11 カリウム摂取量 mg/日
12 飽和脂肪酸摂取量 g/日
13 n-3脂肪酸摂取量 g/日
14 食事の質 米国人のための食事ガイドライン2005年版を使用して測定(DGAIスコア)

(5)統計分析
1 フィロキノン摂取量は、五分位に分類した。
2 HbA1cは、6.5%未満と6.5%以上に二分し、長期高血糖症者を把握できるようにした。
3 インスリン感受性と血糖状態を連続マーカーおよび二分マーカーでロジスティック回帰分析
4 モデル1 年齢・性別・腹囲・身体活動・喫煙・アルコール摂取量・エストロゲン使用・マルチビタミン補充食品使用で補正
5 モデル2 モデル1の要素に、総エネルギー摂取量と食事の質を加えて補正
6 総繊維摂取量・飽和脂肪酸摂取量・n-3脂肪酸摂取量・カリウム摂取量を補正に加え、各五分位群のフィロキノン摂取量中央値を割り当てフィロキノン五分位による傾向検査を実施

●結果

 平均年齢は54.0歳(標準偏差±9.7、幅は26~81歳)、フィロキノン摂取量は10~1,975μg/日となった。
五分位群は以下の通りとなった。
1 第1五分位群 中央値63 10~83μg/日
2 第2五分位群 中央値103 84~120μg/日
3 第3五分位群 中央値139 120~160μg/日
4 第4五分位群 中央値185 160~218μg/日
5 第5五分位群 中央値282 218~1,975μg/日

 第5五分位群は、女性が66%、マルチビタミン補充食品使用割合がより高く、喫煙者はより少なかった。フィロキノン摂取量は、身体活動・アルコール摂取量・総エネルギー摂取量・DGAIスコアと正方向の関連があり、女性においてはエストロゲン使用とも正方向の関連が見られた。また、腹囲はより少なかったが、BMIとの関連は見られなかった。

 より高いフィロキノン摂取量は、モデル1において、インスリン感受性測定である空腹時インスリン濃度・2時間後経口ブドウ糖負荷試験インスリン・HOMA-IR・ISI 0,120すべてとの関連が見られたが、モデル2では、空腹時インスリン濃度およびHOMA-IRとの関連は有意ではなくなった。しかし、食事の質を暗緑色野菜摂取要素は含めない副次要素DGAIスコアで補正を加えた場合には、有意性は保たれた(空腹時インスリン濃度のP=0.01、HOMA-IRのP=0.01)。対照的に、2時間後経口ブドウ糖負荷試験インスリンおよびISI 0,120は、モデル2においても有意なままとなった。

 より高いフィロキノン摂取量は、モデル1および2において、血糖状態測定値である2時間後経口ブドウ糖負荷試験値(グルコース)がより低いことと関連があった。

 さらに、総繊維摂取量・飽和脂肪酸摂取量・n-3脂肪酸摂取量(エイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸)・カリウム摂取量を補正に加えても、フィロキノン摂取量と2時間後経口ブドウ糖負荷試験インスリン・2時間後経口ブドウ糖負荷試験(グルコース)・ISI 0,120との関連には影響を及ぼさなかった。

 フィロキノン摂取量と空腹時血糖値およびHbA1cとの関連は見られなかった。

●考察

 本研究の主要結果は、より高いフィロキノン(ビタミンK)摂取量が2時間後経口ブドウ糖負荷試験インスリンおよびISI 0,120で測定されたインスリン感受性をより高め、2時間後経口ブドウ糖負荷試験(グルコース)で測定された血糖状態をよりよくすることに関連あるというものであった。この結果は、先行する規模の小さな代謝研究において、生化学的指標で評価されたビタミンK状況がより低い若い男性は、ビタミンK状況がより高い男性よりも2時間後経口ブドウ糖負荷試験インスリン濃度が高かったとの結果が出たことと一致する。したがって、ビタミンKはグルコース恒常性における潜在的生物学的役割を有しているかもしれないことが提唱されてきている。

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