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睡眠のリテラシー43

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

高橋正也 独立行政法人労働安全衛生研究所作業条件適応研究グループ上席研究員

 しっかり眠ることは誰にとっても大事です。働いている人では特に、睡眠の良否が仕事のデキにつながりますので、目を向けざるを得ません。

 職場における睡眠の問題と言えば、大抵は従業員に関するものでした。確かに、第一線の従業員がぐっすり眠れないと、生産的に働けませんし、仕事上のミスが起きたりします。そうならないよう、睡眠の充実を従業員向けの健康管理の一環に据える必要があります。

 一方で職場には従業員を指導する役割を持つ管理者や経営者もいます。彼らにとって、睡眠がどのような意味を持つかはほとんど注目されてきませんでした。もしかしたら、上層部の睡眠についてはタッチしてはいけないものであったのかもしれません。

 会社の幹部は難しい場面で、絶えず重要な決断を迫られています。もし選択を間違えたら、膨大な損失につながり、最悪の場合には会社を閉じなければなりません。そうなれば、従業員やその家族だけでなく、幹部層も「就活」することになるでしょう。このような不測の事態を避けるには、経営上層部がリーダーシップをきちんと発揮し、従業員と会社をより良い方向に導かねばなりません。

 米国で、4百名ほどの管理者や経営者を対象に(8割以上は男性、平均年齢49歳)、睡眠とリーダーシップのあり方に関する調査が行われました。調査対象となった幹部の方々は普段平日には6.6時間、週末には7.7時間の睡眠をとっていました。個人ごとに平日の睡眠時間を5倍、週末の睡眠時間を2倍して加え7で割って、1日の睡眠時間を求めました。

 こうした睡眠の長さに加えて、平日と週末の睡眠時間の差も計算しました。この差が大きいのは望ましくないと考えられています。例えば、平日の睡眠は短く、週末に寝だめをすると、この差は大きくなります。週末に朝寝を長くすると、体内時計が遅れて一種の時差ボケのようになり、週明けは水曜日ごろまで不調が続く可能性もあります。

 それぞれ幹部がどのくらい上手にリーダーシップを発揮しているかについて、彼らの同僚数名に採点を求めました。睡眠の状況と合わせて検討した結果、平日と週末の睡眠時間の差が小さいほど、同僚たちの評価したリーダーシップ度は高いことが分かりました。この関連は年齢、肥満度、出張の頻度などを考慮しても認められました。一方、1日の睡眠時間とリーダーシップ度との関連はありませんでした。

 各幹部の上司にも同じように尋ねて解析したところ、同僚による評価の場合とほぼ同じような結果が得られました。

 睡眠の時間を確保するだけでなく、規則性も大事にするから優れたリーダーシップを持つ幹部になるのか、逆にリーダシップに長ける幹部だから睡眠を適切にとるのかは分かりません。ただ、睡眠を尊重するというお手本を示すのも、管理者や経営者の大切な任務かもしれません。

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