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妊婦さんが食べてはいけないもの

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妊婦さんは自分が食べたものが赤ちゃんに影響します。でも日米では食べていいもの・いけないものの認識にやや違いがあるようです。そこをチェックすることで、私たちが意識していなかった食品の注意点も確認できそうです。

大西睦子の健康論文ピックアップ54

大西睦子 ハーバード大学リサーチフェロー。医学博士。東京女子医科大学卒業。国立がんセンター、東京大学を経て2007年4月からボストンにて研究に従事。

ハーバード大学リサーチフェローの大西睦子医師に、食やダイエットなど身近な健康をテーマにした最新学術論文を分かりやすく解説してもらいます。論文翻訳のサポートとリード部の執筆は、ロハス・メディカル専任編集委員の堀米香奈子が担当します。

妊娠中や妊娠を予定している方は、食べ物や飲み物を選ぶとき、とても慎重になりますよね。ところが禁煙や禁酒はよく耳にするものの、具体的にどんな食品が危険なのか、よくわからないことが多いと思います。


先日、ボストン日本人マタニティサポートグループの方々に、「妊娠期」と「産後&離乳食期」の栄養に関する講演の司会をさせて頂きました。講演されたのは、ハーバード大学で肥満の研究をされている、管理栄養士の佐藤佳瑞智博士です。米国での栄養指導に日本と異なる点があり、会場の妊婦さんや産後のママさんが普段から不安や疑問に感じていることを議論し合う素晴らしい会となりました。簡単にまとめさせていただきます。


佐藤佳瑞智博士は「妊娠期」の栄養に関して、以下のような話をしました。

1.妊娠初期:体重は増やす必要はないが、この時期は赤ちゃんの細胞増殖が盛んなため、必要な栄養素に注意する必要がある。特に、葉酸不足とビタミンAの過剰摂取は要注意。また細胞の大切な構成材料である良質なタンパク質、良質な脂質の摂取を心がける。

2.妊娠中期:主食は増やさず主菜や副菜をもう一品増やす。鉄分を摂って、貧血予防。食物繊維で便秘の予防を。

3.妊娠末期:主食も増やす。出産・授乳に備えてお母さんのスタミナアップをする。牛乳や乳製品などで、タンパク質とカルシウムを摂る。


さらに、佐藤佳瑞智博士は、妊娠中に摂取すべきではない食品を説明しました。

1.生もの(肉、魚、卵):食中毒や寄生虫の危険がある。中心温度が65度以上になるように調理。(ほとんどの食中毒細菌は65度以上で死滅するが、ノロウイルスなどの場合75度以上)

2.アルコール・カフェイン飲料

3.発酵食品・カビ系チーズ

4.コールドカット(ハムなどの薄切り加工肉)、デリ食品(惣菜):米国では、調理過程が清潔でなかったり、保存管理が適切でなかったりすることが多い。

5.脂身の多い大型の魚:水銀※1が多く含まれている。


さて、特に問題になるのは、魚です。遠洋漁業で取れるマグロ等の大型の魚については、輸出先が米国か日本かの違いだけですから、水銀量に違いはないはずですよね。にもかかわらず、特定の魚種について米国では「食べるな」と明確に禁止し、食べてもいい魚の許容摂取量も厳しいのに対し、日本では「ある程度以上は食べない方が良いが、禁止するものではない」というゆるい指導になっています。その理由として、米国ではもともと魚介類を食べる量・頻度が少ないのと(禁止してもさほど影響がない)、回避できるリスクは徹底的に回避するというリスク管理の考え方の違いがあるのではないでしょうか。


米国のリストでは、正直途方に暮れるくらいの多くの魚が禁止・ハイリスク・要注意とされていて、日本から来られた妊婦さんたちは悩むところだと思います。魚食のメリットをより重視しているのが日本だと思います。厚生労働省の注意事項にも、「魚介類は良質なたんぱく質を多く含み、EPA※2、DHA※3等の高度不飽和脂肪酸がその他の食品に比べ一般に多く含まれ、また、微量栄養素の摂取源である等重要な食材です。本注意事項が、魚介類の摂食の減少につながらないよう正確な御理解をお願いします。」と明記され、注意の対象となった魚介類を偏って大量に食べずに、対象外(水銀量の低いor無い)の魚介類を選んで食べることにより、魚食のメリットと水銀量減少の両立が促されています。


佐藤佳瑞智博士は、次のように述べています。「個人的には、日本の注意事項に挙げられている食物連鎖上位の大型魚介類(鯨、イルカ、キンメダイやメバチマグロ、クロマグロなど)、そして米国の「禁止」リストにあがっているものくらいは妊娠中は精神衛生上も食べない方がいいと思っています。一方、その他の低リスクとされる魚介類は制限する必要はないのでは、とも思います。ただし、近海魚などは周囲の環境により水銀量が大きく異なりますから、各国・地域で公表される水銀値には目を配る必要がありますね」


では、今、米国ではどんな食べ物が、妊婦さんにとって問題なのでしょうか。

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