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この症状 ひょっとして病気?

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(番外編)このページの記事は、ロハス・メディカルブログ2009年5月17日付掲載の『皮膚のかゆみ 発疹がある場合-③症状が全身に現れるなら その1』(筆者・堀米香奈子専任編集委員)です。久住英二医師の監修は受けておりません。
皮膚のかゆみ 発疹がある場合-③症状が全身に現れるなら その1
 症状が、局所的でなく、全身のあちらこちらに現れる場合に考えられる病気について、考えていきたいと思います。

 まずは症状チェックから。(「膨疹」や「丘疹」といった言葉が分からない方は、『皮膚のかゆみ 発疹がある場合-①皮膚症状のいろいろ、じんましんと湿疹』へ)

1.突然に赤い膨疹が広がり、ほぼ半日以内に治る
 ⇒ 【 じんましん 】?

2.洋服などが擦れていた部分に、痛みを伴う発赤・丘疹・小水疱
 ⇒ 【 接触性皮膚炎(湿疹) 】?

3.とくにすねに円形の湿疹が現れ、次第に腕、胴体に広がる
 ⇒ 【 貨幣状皮膚炎(湿疹) 】?

4.乾燥した脚や胴体、腕に丘疹。かゆみが夕方~夜に強くなる
 ⇒ 【 皮脂欠乏性皮膚炎(湿疹) 】?

5.主に頭皮や顔、その他の部分の皮膚の表面が赤くかさつき、頭皮だとフケのように剥がれ落ちる
 ⇒ 【 脂漏性皮膚炎(湿疹) 】

6.鳥肌のような硬い丘疹、その部分の皮膚がザラザラに
 ⇒ 【 アトピー性皮膚炎(湿疹) 】?

7.環状につながった大きな紅斑ができ、その縁に小さな水疱や丘疹が出る 
 ⇒ 【 体部白癬(たいぶはくせん) 】?

8.腋の下や腹部、陰部などに丘疹、夜かゆみが強くなる
 ⇒ 【 疥癬(かいせん) 】?

9.手の甲や、腕・脚の関節、陰部などに、紫紅色で平らに盛り上がった発疹
 ⇒ 【 扁平苔癬(へんぺいたいせん) 】?

10.紅斑のなかに大きな水疱。日に日に増えてくる
 ⇒ 【 水疱性類天疱瘡 】?

11.薬の服用後、多くは1~4週間以内に発熱、黄疸、発疹
 ⇒ 【 薬物性肝障害 】?

 あてはまるもの、「これかな」と思うものがあったでしょうか? 1のじんましんと2~6の皮膚炎(湿疹)の症状の違いなどについては、『皮膚のかゆみ 発疹がある場合-①皮膚症状のいろいろ』も参考にしてください。

 以下、それぞれの詳しい症状や原因、対処法について、見ていくことにします。。

【蕁麻疹(じんましん)】
《症状》
 皮膚の一部に、蚊にさされたくらいの紅斑や膨らみ(膨疹)ができて、皮膚の灼熱感・かゆみを伴います。短時間のうちにたくさんの膨疹が全身に出る場合も。目の周りや唇が腫れたり、ときには口の中の粘膜が腫れることもあります。いずれにしても、数十分から数時間でうそのように消えてしまいます。ただし膨疹が現れたり、消えたりを繰り返すことも多いようです。 また、気管支や腸管の内部にまで出て、呼吸困難や下痢・腹痛を伴うことも。この場合、死に至ることもありますので、ぜーぜーと呼吸が苦しくなったり、腹部が痛んだり、ぐったりしているような場合は、すぐに医師の診察を受けてください。

《原因》
 蕁麻疹には、食べ物や抗生物質などの薬剤、食品添加物、化学物質、動植物、感染症、汗、温度差、日光などが誘因となって起こる「アレルギー性蕁麻疹」と、温熱や寒冷、時計バンドなどが皮膚に当たるなどの機械的な刺激、不安などの心因性によって起こる「非アレルギー性蕁麻疹」があります。食べ物によるアレルギー性の蕁麻疹では、食べた食物が直接アレルギー反応を起こす場合と、ヒスタミンなど蕁麻疹を誘発する物質が含まれていてアレルギー反応が出現する場合とがあります。とくに、健康な状態では大丈夫なのに、体調が悪かったり胃腸の具合が悪かったりすると、アレルギーの抗原やヒスタミンなどが腸から吸収されやすくなり、同じものを食べても蕁麻疹を起すことがあります。

《対処法》
 まず、原因が特定できるものは、その原因を取り除きます(原因が食品の場合は、その食品の摂取を中止するか制限し、日光が原因なら陽に当たらないように注意するなど)。アレルギー性の蕁麻疹で抗原(アレルギーを引き起こす物質)の排除が難しい場合(ハウスダストなど)は、「特異的減感作療法」を用います。これは原因となる物質の10~100倍に薄めたエキスを継続的に注射して、身体を慣らしていく体質改善療法です。ただ、効果が現れるまでに時間がかかり、また効果も個人差が激しいようです。

 原因が特定できない場合は、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬を内服します。解毒剤、抗生物質、痒み止めなどを注射することもあります。また呼吸困難など症状がひどいときには、炎症を抑える副腎皮質ホルモンが処方されます。

《参考サイト》
じんましんのいろは (病気のいろは)
蕁麻疹の種類についても詳しく、簡潔にまとまっています。

【接触性皮膚炎(湿疹)】いわゆる"かぶれ"です。
《症状》
 強いかゆみと発疹が一般的。発疹は、すぐに消える赤みといった軽度のものから、大きな水疱等の重度のものまでさまざまです。原因となる物質に触れた部分の皮膚にのみ、発疹ができます。皮膚が薄く敏感な部分にまず生じ、厚いところや物質との接触が少なかったところにできていくため、発疹が広がっていくように見えます。発疹や水疱の中の液体によって他の部位や他の人にうつるようなことはありません。赤身が消え、水疱がかさぶたになって治っても、皮膚がかさついてはがれたり、かゆい、一時的に皮膚が厚くなるといった症状が、数日から数週間ほど残る場合があります。

《原因》
 ある物質が皮膚に触れた場合、皮膚への刺激(刺激性接触皮膚炎)もしくはアレルギー反応(アレルギー性接触皮膚炎)の、2つのしくみのどちらかによって炎症が起こるものです。

 刺激性接触皮膚炎は、化学物質が皮膚に直接ダメージを与えた場合に起こるもの。典型例は、強い酸、パイプ洗浄用洗剤や強力せっけんなどのアルカリ、マニキュアの除光液などがあります。皮膚の敏感さには個人差もあり、刺激物の種類によっても、接触から反応が出るまでにかかる時間は大きく異なります。弱い成分でも繰り返し触れることで症状が出ることも。

 一方、アレルギー性接触皮膚炎は、皮膚に接触した物質に体の免疫システム反応して症状を引き出してしまうもの。ある物質に一度接触しただけで反応が起こるようになる場合もあれば、何度も接触した後に反応が出るようになる場合もあります。一度反応が出るようになると、次にその物質に触れたときに再び症状が出るようになります。原因となる物質は実にさまざまですが、最も一般的なのがウルシ、ゴム製品、抗生物質、香料、防腐剤、ニッケルやコバルトなどの金属類。皮膚炎治療のためのクリームやローションといった薬剤でも起こりえます。また、ある物質に接触した後に、太陽光線にさらされて初めて起こることもあります(光線過敏性、または光毒性接触皮膚炎)。

《対処法》
 発疹が皮膚のどこに最初にできたかは重要な手がかりです。特に、衣服やアクセサリー類の下に出た場合や、日光にあたった部分だけに出た場合は重要。原因が特定できない場合は、パッチテストを行います。原因になりやすい物質を塗布した小さなシールを患者の皮膚に1〜2日間貼りつけ、発疹が出るか調べます(ただし万能ではないとのこと)。

 原因物質との接触を絶てば、通常1週間程度で皮膚の赤みは消え、水疱も破れてかさぶたになったりもしますが、間もなく治ります。ただしかゆみ等は数週間程度、長引くこともあり、それを抑えるには、塗り薬やひどい時は飲み薬を医師に処方してもらいます。

《参考サイト》
接触性皮膚炎 (平松皮膚科医院)
化粧品、植物、ゴム、金属など、原因別の解説も詳しく(リンクで別ページを設けて)わかりやすいです。

かぶれ(接触性皮膚炎) (村上皮フ科クリニック)
水虫と間違いやすい足の症状などが、写真入でわかります。だいたいのことを、ざっと頭に入れたい人に。

【貨幣状皮膚炎(湿疹)】
《症状》
 コインのような形・大きさの湿疹が特徴。かゆみ、発疹、炎症がつづき、そこの部分にさらに小水疱ができ、じくじくした後にかさぶたやうろこ状になることもあります。皮膚が乾燥している場合に現れ、冬に最もよくみられます。発疹は腕や脚の内側、尻の部分に出ることが非常に多いですが、胴体部分にもでき、出たり消えたりすることもあります。中高年以降に多いのですが、赤ちゃんにも見られ、あらゆる年代で症状が出ます。

《原因》
 そもそもの原因は分かっていません。症状の見た目から付けられた病名ですので、実際のところ、中高年では皮脂欠乏性皮膚炎、子どもではアトピー性皮膚炎、あるいは脂漏性皮膚炎がもとになっている場合も多くあります(詳しくは各項目をご参照ください)。扁桃腺炎や歯周病などの細菌感染によって誘発される場合も。アレルギー性の症状が細菌により悪化し、長引いていることも多いようです。

《対処法》
 とにかく肌の乾燥を避けることが第一なので、多くの場合、保湿剤でだいぶよくなります。炎症を一気に押さえ込むためたいていステロイドが処方されます。かゆみが強い場合、掻いてしまうと広がってしまうので、抗ヒスタミン薬を内服することもあります。じくじくしているときは感染をおさえるため抗生物質の飲み薬・塗り薬を併用します。また、紫外線照射を受ける光線療法などがあります。しかし、どの治療法もそれだけで簡単に完治できることはなく、繰り返し体に現れることが多いようです。

《参考サイト》
貨幣状湿疹(平松皮膚科医院)
患部の写真がわかりやすいです。ポイントが簡潔にまとまっています。ちなみに、画面トップに10年以上の受信者数のデータも。

貨幣状湿疹 (さいとう皮膚科クリニック)こちらも典型的な症状の写真があります。医師によっても治療方針が微妙に異なることもありますので、参考までに。

貨幣状湿疹 (乾燥肌対策とかゆみ改善法)
症状から治療法までを網羅しています。

次頁へ続きます。

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