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この症状 ひょっとして病気?

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(番外編)このページの記事は、ロハス・メディカルブログ2009年5月13日付掲載の『皮膚のかゆみ 発疹がある場合-②症状が局所的なら』(筆者・堀米香奈子専任編集委員)です。久住英二医師の監修は受けておりません。
皮膚のかゆみ 発疹がある場合-②症状が局所的なら
 皮膚のかゆみと発疹を伴う疾患について、症状から考えられる病気等を見ていき、参考になる分かりやすいウェブサイトをご紹介していきます。まずは、かゆみと発疹の症状が限られた部位にのみ現れた場合について考えます。

※皮膚にかゆみや発疹が現れたとき、まず患部が手だけ、足だけ、といったように限られた部位か、それともだんだんと全身に広がってくるか、様子を見てください。

 なお、特に間違えやすいものに、接触性皮膚炎があります。検査をして白癬菌(後述)が検出されなければまずコレを疑います。例えば水虫かと思ったら、靴によるかぶれだった、というケース等がばしば見られます。接触性皮膚炎については、詳しくは次頁の『皮膚のかゆみ 発疹のある場合-③症状が全身に現れるなら』をご覧ください。

●手のかゆみ+発疹 ⇒ 【 手湿疹 】? 
《症状》
 手のひらや指の皮膚が乾燥し、きめが粗くなり、赤くなります。パターンとしては、指先の皮膚が荒れて乾燥してくる場合、あるいは、指の間に紅斑ができて次第に範囲が広がっていく場合があります。悪化すると皮膚が硬くなり、亀裂(ひび)が入ることも。たいてい強いかゆみがあるが、掻くとさらに悪化してしまいます。

《原因》
 日常生活で触れるさまざまなものの刺激によって生じる皮膚炎で、皮膚の表面を保護する皮脂の分泌が少ない乾燥肌だったり、職業・家事などで水やシャンプー・洗剤などを頻繁に使って皮脂が減ると起こりやすくなります(お湯での家事はこれを助長)。空気が乾燥する秋から冬に悪化。温かい湯による食器洗いなども悪化に関係します。また、化学物質や植物・金属など、手で触れる特定のものに対するアレルギー反応の場合も。

※「手白癬」といって、手の水虫の場合もあります。大まかには足の水虫と一緒ですので、次の水虫の項目を参考にしてください。

《対処法》
 まず、水仕事の際はゴムやビニール製の手袋を着用するなど、皮膚への刺激を減らすこと。シャンプーや水仕事の後は、こまめにハンドクリームやワセリンなどの保湿剤を塗って、手を保護します。よくならない場合や、かゆみが強い場合には皮膚科を受診し、塗り薬を処方してもらいましょう。それでも治りが悪い場合には、刺激だけでなく特定のものに対するアレルギーを疑うことに(原因特定の検査へ)。

《参考サイト》
手湿疹 (平松皮膚科医院)皮膚科医の先生が毎日の診療から具体的に解説しています。

手湿疹辞典
管理人の方の経験に基づき、基本から体験談、日常ケアまで詳しく載っています。

●足のかゆみ+発疹 ⇒ 【 水虫 】?
《症状》
 足の中でも症状の出やすい場所があります。

○指の間:
 最も患者数が多いといわれている典型的な水虫。強い痒みのほか、白くふやけたり、皮がむけて赤くただれたり、ジュクジュクしたびらんになったり、腫れたりすることが特徴です。
○土踏まずや足の側面:
 比較的皮膚の厚い場所に、やや粘り気のある透明な液体が入った小さな水疱が出るもの。激しくて強い痒みを伴うことも多くあります。
○足の裏(とくにかかと):
 角質が厚く硬くなって、白い粉がふいたり、皮膚の表面がザラザラ、ガサガサになるもの。ひどいと、あかぎれやひび割れのような状態になったりし、皮膚が剥けてきます。
※いくつか同時に出ることも珍しくありません。

《原因》
 白癬菌と呼ばれるカビの一種が原因。人間や動物などの皮膚の角質層をすみかにして、その成分であるケラチンというたんぱく質を栄養源にしています。人間のアカが落ちるところ、つまり身の周りのいたる所に生息していますが、本来、さほど感染力は強くありません。要注意箇所は、お風呂マット、じゅうたんや畳、寝具、共用スリッパ、銭湯や温泉、プール、スポーツジム、ボーリングやスキー場などの貸し靴etc・・・。

《対処法》
 塗り薬を毎日、根気よく塗ることです。白癬菌は、見た目で症状が出ているところよりもっと広がっているのが普通なので、広い範囲に塗るのが重要。お風呂上がりなどは皮膚がふやけて薬が浸透しやすいのでおすすめです。見た目がきれいになっても白癬菌が中に潜んでいることが多いので、1ヶ月程度は治療をやめずに継続してください。また予防と治療中を通じて、清潔を心がけることです。足と、そして部屋なども、乾燥・通気性を良くすることが大事。 白癬菌をはじめとするカビの仲間は高温多湿を好むからです。

《参考サイト》
今年こそサヨナラ 水虫さん (ロハス・メディカル 2006年6月号)
お馴染みの『ロハス・メディカル』第一特集。専門医の監修のもと、原因から注意点まで読みやすく網羅しています。

水虫.com (ベイラー製薬)
写真が多く総合的でわかりやすいサイトです。水虫疑惑チェックもついています。水虫に似たほかの病気や、足のみならず他の部位の水虫も。

水虫ちゃんねる(皮膚科専門医による水虫・爪水虫の医療情報サイト)
見やすい図やイラストで、感染経路や感染部位までわかりやすく解説。かゆみがなく、もっとも治りにくいといわれる爪水虫対策にも。

水虫対策と予防・治療法
項目別にページが細かく分かれているので使いやすいです。

●手足のかゆみ+発疹 ⇒ 【 掌蹠膿疱症(しょうせきのほうしょう) 】?
《症状》
 手のひらや足の裏(とくに土踏まず)に膿疱ができ、周囲に赤みをもちます。赤みは次第にお互いにくっつきあって、手のひらや足の裏全体の皮がむけ、赤むけの状態に。その中に膿疱やかさぶたが見えるようになります。重症な患者さんでは下腿(すね)や膝にも、まれに赤い発疹が体に出ることもあります。ちなみにこの膿庖のウミの中にはカビなどの菌・バイ菌はいないため、手足から体のほかの部位に感染するということではありません。

《原因》
 現在のところは不明です。引き金としては、外の環境と接する扁桃腺や歯、鼻などに細菌による慢性炎症(病巣感染といいます)や、歯科金属(パラジウムなど)に対するアレルギーが多いようです。また喫煙との関係も言われていて、患者さんの約80%の人が喫煙者です。患者の血中ビオチン(ビタミンH)濃度を測定すると、正常の人に比べて著しく低下していることが研究で報告されていますが、はっきりしたことはわかっていません。

《対処法》
 病巣感染や金属アレルギーなど、病気を悪化させる要因があれば取り除きます。悪化の要因がみつからない場合は、症状を軽くするための対症療法を行ないます。通常、ステロイド軟膏を使用しますが、症状が頑固な場合は紫外線療法や短期間のビタミンA誘導体の内服を行うこともあります。 喫煙している人は、禁煙したからといって掌蹠膿疱症が治るというわけではありませんが、健康のためにもタバコは控えるほうがよいでしょう。なお、ウミを出そうと針や爪楊枝でいじると、バイ菌が入って腫れたりするので要注意。

 ちなみにビオチンの適切な投与により完治された方もいらっしゃるようです。ただ、効果がはっきりしているとは言い切れず、また正しい処方が大切なため、自己流で摂取することは避けてください(下記サイトもご参照ください)。

《参考サイト》
皮膚科Q&A 掌蹠膿疱症 (日本皮膚科学会)
気になることについて、皮膚科の先生が質問形式で答えてくれます。 

「掌蹠膿庖症で、ビオチン治療だけが万能ではない」
ビオチン療法について、注意点と共に書いてあります。参考までに。

●陰部のかゆみ+発疹 ⇒ 【 尖圭コンジローマ 】 ?
《症状》
 男女とも、性器や肛門のまわりにイボができ、かゆかったり痛むことがあるもの。ただし、かゆみ等を感じずに、自覚がほとんど無いことも多いようです。イボの大きさはたいてい1~3mm程度の小さなものですが、大きくなることも。色はさまざまで、白やピンク、茶褐色、黒っぽいこともあります。形も、乳頭状、鶏のトサカ状、カリフラワー様といろいろです。
※男性性器の場合、脂線がイボのようになったもの(1mm程度)ができるときがあります。女性も同じように性器に小さなツブツブができることがあります。どちらもかゆみ等はなく、生理的なものですが、判断が難しいときは医療機関を受診してみてもよいでしょう。

《原因》
 性行為により感染する性感染症で、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスの一種が引き起こすものです。皮膚や粘膜にある小さな傷に侵入して感染します。感染してすぐにイボができるわけではなく、3週間~8ヵ月(平均2.8ヵ月)くらいかかるといわれ、感染源を特定することが困難な場合もあるようです。パートナーも、3人に2人が9ヵ月以内に感染するという報告もあるようなので、症状に気づいたら相手にも必ず相談しましょう。(女性の場合、母子感染の可能性もあり、新生児に産道感染することもあります。)

《対処法》
 まず、早めにお医者さんに相談することが大切です。男性は泌尿器科などに相談するのが一般的、女性は婦人科へ。治療は、塗り薬による治療と、場合により外来での小手術もしくは日帰り入院手術の大きく2つがあります。塗り薬は病院で処方してもらい、自分で塗るだけなので手軽ですが、紅斑やびらん、湿疹、皮がはがれたりするなどの副作用が出ることも。一方、手術も、痛みや傷跡が残る可能性もあり、また、見えているイボを取り除いたとしても、ウイルスが残っていて再発を繰り返すなど、治療が長引く可能性もあります。いずれにしても、根気よく治療を続けることが大事です。

《参考サイト》
尖圭コンジローマ情報サイト-イボイボコミュニケーションスタジオ (持田製薬)
男女別のセルフチェックページあり。男女別に、症状から治療まで網羅的に取り上げています。

膣前庭乳頭症とフォアダイス (Checkup & Prevention)尖圭コンジローマと、生理的なできものの違いについて解説しています。

●その他の部位の局所的なかゆみと発疹
⇒多くは何らかの原因による湿疹と考えられます。シャンプーなどの化学物質や、衣服がいつも一定の部位にこすれているとき、草花の花粉などがついたとき、その刺激から、あるいはアレルギー反応として、かゆみや発疹が出てきます。症状がひどくなければ、考えられる原因を取り除いた上で、かゆみ止めの塗り薬を塗って様子を見てください。それでも改善しない、悪化したという場合は、皮膚科を受診します。長く続いている場合には、そうした湿疹に白癬菌などがすみついて、症状を悪化させていることがあります。その場合には塗り薬の抗生剤を処方してもらいます。

※感染症によらない皮膚のかゆみ全般については
メルクマニュアル医学百科「かゆみ」セクション
も参考にしてみてください。

次頁へ続きます。

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