全国の基幹的医療機関に配置されている『ロハス・メディカル』の発行元が、
その経験と人的ネットワークを生かし、科学的根拠のある健康情報を厳選してお届けするサイトです。
情報は大きく8つのカテゴリーに分類され、右上のカテゴリーボタンから、それぞれのページへ移動できます。

あの素晴らしい眠りもう一度。睡眠障害

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

「眠らせる脳」は、体内時計と睡眠物質に従う。

 前項で、睡眠は、脳の機能を維持するために脳が起こすと説明しました。進化の中では、睡眠を取った方が、生存に好都合だったのでしょう。
 ただし睡眠中は、意識レベルが下がり、筋肉が弛みますので、外敵などに襲われるとひとたまりもありません。生存のための睡眠である以上、何か危険がある状況では、脳は睡眠を起こさないということになります。ストレスがあると寝付けないのは、これが理由です。
 同じく前項で、昼夜のサイクルの中でエネルギー節約のために誕生した睡眠が、休息・回復の積極的な意味を持つようになったと説明しました。この歴史があるため、睡眠が起きるメカニズムにも、大きな2つの原理が互いに影響しあいながら働いています。質の良い睡眠を得るには、この2つの原理に従って行動することが大切になります。
 最初の原理は、一定の時刻になると眠くなり、一定の時刻になると目が覚める体内リズムです。これは約25時間周期で1周します。放っておくと、眠くなる時間・目覚める時間が毎日1時間ずつ後ろへずれてしまいますが、午前中に強い光を浴びることで24時間周期にリセットされます。夕方以降に強い光を浴びると、これがなんと26時間周期になってしまいます。
 何はともあれ、眠くなる時間帯はある程度決まっているので、その時間帯に床につけば快眠に近づきます。一方で体内時計が狂うと、変な時間に眠気に襲われることになります。鶏と卵の関係ですが、体内時計がキッチリとリズムを刻むには、規則正しい睡眠が大切です。
 もう一つの原理が、様々な「睡眠物質」の系統です。起きて活動していると、これらの物質が脳内に溜まり、疲労を感じるようになります。これらの物質はノンレム睡眠中に処理されます。睡眠物質の量を常に一定量以下に抑えようとする機能を、少し難しい言葉で生体ホメオスターシス(恒常性維持機能)と呼びます。
 睡眠物質の量は、その睡眠の前にどれだけの時間起きていたか、どれだけ活発に動いたかによって決まります。「眠らせる脳」は、この睡眠物質をきちんと処理できるよう、続いて起きる眠りの質と量とを決定します。活発に活動した時や長時間起きていた時に眠りが深く長くなるのは、これらの物質が大量に溜まっていたからです。
 これはつまり、眠らせる脳が健全であるなら、途中で無理やり起こされない限り、放っておいても必要な睡眠は得られることを意味します。
 また、睡眠物質の処理を行うような熟睡は寝入りばな3時間に優先的に配置され、その後はいくら寝ても浅い眠りが中心になります。寝不足だからといって、いつまでも寝床から出ないと、質の悪い浅い眠りばかり続くことになるので、起きた時に気分が悪くぐったりしてしまいます。慢性的な睡眠不足と同様、寝すぎもまた害があるのです。

徹夜は効率が悪い。  脳の機能回復には睡眠が不可欠で、睡眠には記憶を定着させる働きもあります。眠らずに勉強などをしても、気力・思考力が共に衰えますし、作業の正確性もなくなってきます。それがまた日中にも悪影響を与えます。特に試験勉強などで徹夜するのは逆効果です。4時間半程度は寝て、スッキリした頭で再挑戦しましょう。
寝相が悪いのは健康な証拠。  眠っている間に姿勢が固定されていると、筋肉が疲れたり血流が滞ったりし、ひどい場合には床ずれができます。心地よい睡眠も得られません。これを防ぐために自然に起きるのが寝返り。日中の活動で歪んだ背骨を修復する役目も負っています。一般に寝相が悪い人は調節機能が活発に働いていることになります。ただし、睡眠時無呼吸症候群の可能性もあります。

  • 患者と医療従事者の自律をサポートする医療と健康の院内情報誌 ロハス・メディカル
月別アーカイブ
サイト内検索