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認知症を知る10 リハビリの効果

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介護保険の成功例

 実は、リハビリの積極的な効果が広く知られるようになったのは、つい最近のことです。
90-1.1.jpg 2006年度に介護保険のメニューとして、「認知症短期集中リハビリテーション」(コラム参照)というものが試験的に設けられました。老人保健施設(老健)が1回60単位(1単位は原則10円)で、軽度認知症の入所者を対象に、専門職が3カ月間、1回20分以上週3回マンツーマンでリハビリを実施するというものでした。

 導入と同時に全国老人保健施設協会が効果の調査研究も行い、その結果、認知症の進行抑制、日常生活動作の改善、行動・心理症状(BPSD)の改善などに予想を上回る成果が出ました。

 このため、その次の09年度介護報酬改定では、報酬が一気に4倍の240単位へと引き上げられたうえに、対象者が中程度以上の重症者にも拡大され、さらに老健だけでなく医療機関の介護療養病床と通所リハビリ事業所でも行えるようになったのでした。

 ただし、現在リハビリとして行われていることは多岐にわたり(表参照)、一人ひとりの状態と目標に合わせて適切なメニューを選ぶ必要があります。

認知症リハ  ハビリによって生活機能改善が見込まれる、と医師が判断した認知症の人に対して、その生活機能改善を目的として行うものです。医師または医師の指示を受けた理学療法士などの有資格者が、対象となる人とマンツーマンで記憶の訓練や日常生活活動の訓練等を組み合わせたプログラムを3カ月間実施します。  入所する施設では週3回、通所する施設では週2回行う必要があります。期間の上限が3カ月間となっているのは、主に制度上の都合(体制や財源)によるもので、続けたら悪いわけではありません。むしろ、終了後も何らかのリハビリを続けた方がよいのでないかと考えられています。
誤りなし学習  認知症の人に対しては、間違えてから正答を教えるのではなく、はじめから正答を教えて課題に挑ませる「誤りなし学習法」の方が、顕著に効果が高くなります。  健常者は間違えを修正した記憶が残ることで学びますが、認知症の人では間違いを修正した記憶が残りません。しかし潜在意識化では課題に挑んだ経験が残っていて(無意識に課題を覚えているけれど過去の自分の行為が間違いだったことは覚えていない)、一度間違えると何度も繰り返すことになると考えられています。  本人の自尊心を傷つけないという面からも、間違えさせないことが大切です。
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