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認知症を知る6 介護に入る前に
※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。
お互い様だから人の手を借りる
叱ったらいけないということは十分理解していたとしても、家族だって人間ですから、いつどんな時にもニコニコという訳にはいかないでしょう。むしろ、自分さえ我慢すればという気持ちが強過ぎて、抑うつ状態になってしまう方も少なくないと言います。
家族にも自分の人生があり、その充実をめざすことにやましさを感じる必要はありません。心身ともに健康でいることは、認知症の人自身のためにもよいことで、それは科学的にも確かめられています。
悩みや苦しみを家庭で抱え込んでしまうと限界が来て破綻します。介護保険や家族の会などの助けを積極的に借りるようにしましょう。第三者や専門家が加わることによって、叱られなくなった認知症の人が落ち着きを取り戻す、ということも期待できます。
ここからは、人の助けを借りるための手順です。
①現状把握
まず必要なのは、本人の心身の状態をできるだけ正確に把握することです。先の予測のつかないまま、困難に立ち向かうほど苦しいことはありません。先手先手で動くためにも、予測がつくことは、あらかじめ知っておきたいところです。
認知症の原因は何で、現在どの程度まで進行しており、今後どのように経過していくと考えられるのか。医療によるサポートはどの程度受けられそうなのか、さらには生活上のアドバイスがないか、医師や看護師にきちんと確認しましょう。
医師には、介護保険を申請する時に「主治医意見書」を書いてもらう必要がありますので、その旨も一言伝えておくと後々スムーズに事が運びます。
②方針確認
次に、本人と家族の気持ちを再確認します。人は認知症と闘うために生きるわけではありません。認知症があったとしても、可能な限り自尊心を保ったまま、その人らしく暮らせた方が、よいに決まっています。
本人が、どのように暮らしていきたいと考えているのか、その思いに対して家族はどう関与するつもりなのか、サポートにどの程度の労力やお金を割けそうなのか、見つめ直してみましょう。後手後手に回って、何をしているのか分からないということにならないためにも、事あるごとに立ち止まって確認することは大切です。
③外部サポートの確認
それが済んだら、医療以外で外部から受けられるサポートに、どのようなものがあるか調べます。自力で調べると漏れがあるかもしれませんので、認知症の人の居住地の市区町村窓口(介護保険課や高齢福祉課など)、もしくは地域包括支援センターに出向くとよいでしょう。
大きな病院を受診している場合は、病院の中に医療ソーシャルワーカー(MSW)がいて、相談に乗ってくれることもあります。看護師などに尋ねてみてください。
また、ご近所や家族会などの口コミもバカになりません。例えば、認知症の人と家族の会は各地に支部があり、無料の電話相談なども行っています。