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認知症を知る4 脳血管性

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治療・予防は、まず生活改善

 この病気の危険因子は、まず年齢が高くなることです。また「高血圧」は極めて悪く、腎臓の機能を落としたり動脈硬化を連鎖的に進めることは、過去に生活習慣病を取り扱った特集で何度も説明してきました。硬くなった動脈は裂けやすく、血栓が詰まりやすくなります。
 一部の降圧薬には、アルツハイマー型認知症の予防効果を期待できるのでないかとの説すらあります。積極的に降圧薬を使いましょう。
 耐糖能異常(糖尿病)や脂質異常症も、あれば発症のリスクが上がります。よって、そのコントロールを行う必要があります。
 詳しくは、各生活習慣病の特集(05年12月号「高血圧」06年1月号「糖尿病」06年12月号「メタボリックシンドローム」07年7月号「脂質異常症」08年8月号「虚血性心疾患」09年9月号「慢性腎臓病」など)をご参照いただくとして、すべてに共通の基本は、バランスのよい適量の食事と適度な運動をセットにした生活改善です。
 もし既に生活習慣病の域に入ってしまっている場合は、積極的に薬を使ってコントロールしましょう。
 この他、喫煙は百害あって一利なしです。飲酒は適量なら良いという説もありますけれど、過度に飲めば間違いなく発症リスクを上げます。
 それから案外見過ごしがちなことですが、脱水状態は血が濃くなって血栓を作りやすくします。年をとると喉の渇きを感じにくくなります。喉が渇いたなと思った時には、既に脱水になっていることが多いので、毎日、定期的な水分補給をお忘れなく。

そして本丸

 以上の生活改善、生活習慣病コントロールと並行して、脳血流改善薬や脳血管拡張薬、脳代謝賦活薬などを1種類ずつ、その効果を評価しながら使うと、認知機能が改善することもあります。
 非薬物療法(リハビリテーションなど)は症状改善だけでなく、生活の質の改善に役立つこともありますが、行動・心理症状について、非薬物療法ではどうにもならない場合には、やはり薬を使います。
 よく使われるベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬は、「逆説性興奮」の誘因となることもあるので注意が必要です。
 夜間せん妄になった時には、四環系抗うつ剤が用いられます。ミアンセリン(商品名:テトラミド)、マプロチリン(商品名:ルジオミール)、セチプチリン(商品名:テシプール)などがあります。
 それで効果を得られなければ、リスペリドンやクエチアピンといった非定型抗精神病薬、あるいは抑肝散などの漢方薬を短期間・少量試みます。
 意欲・自発性の低下が見られる場合には、塩酸アマンタジン(商品名:シンメトレル)やニセルゴリン(商品名:サアミオン)などが用いられます。
 抑うつ症状に対しては、選択的セロトニン取り込み阻害薬(SSRI)が比較的よく用いられます。

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