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認知症を知る5 その他の原因

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

原因疾病を治療すると症状改善が望めるもの

 最後にご紹介するのは、何らかの疾病が原因で脳機能の低下が起き認知症を呈しているのだけれど、脳の神経細胞死までは起きていないため、元の疾病に働きかけることで認知機能改善が望めるものです。
 これらの治療の機会を逃さないためにも、専門医への早期受診が大切と言うことができます。

①慢性硬膜下血腫

 脳を覆う「硬膜」(脳を覆う膜は3層構造で外側から硬膜、クモ膜、軟膜と呼ばれます)と脳の間に徐々に血の塊(血腫)が溜まっていく病気です。原因の多くは頭部外傷で、なかには数か月前に頭をぶつけて徐々に血腫が起こることもあります。
 脳が圧迫され、頭蓋骨内部の圧力が高まっていくため、不機嫌、痙攣発作、嘔吐、傾眠などの症状が見られ、また認知症も出てきます。
 局所麻酔をして頭蓋骨に小さな穴を開け、血腫を取り除くと、多くの場合、速やかに症状が改善します。ただし再発することも少なくありません。

②正常圧水頭症

 脳の中心にある「脳室」に髄液が溜まり、脳が圧迫されることで、認知症や歩行障害、尿失禁などの症状が徐々に出てくるものです。
 ちなみに、髄液は、脳室壁のある部分からから浸み出し、脳と脊髄の周りを回ってから、静脈に吸収されます。何らかの原因で、この髄液の流れや吸収が妨げられると起きます。
 クモ膜下出血や髄膜炎など原因がはっきりしているものを続発性正常圧水頭症と呼び、その原因を治療することで認知症が改善することもあります。
 一方、原因がはっきりしないものは特発性正常圧水頭症と呼びます。腰椎に穿刺し髄液を少量抜いてみた後で症状が改善するようであれば、髄液を継続的に腹腔内などへ逃がすよう体内に管を埋め込む「シャント術」を行います。これによって半数ほどの人は認知症が改善します。シャント術の合併症として、慢性硬膜下血腫が起きてしまうこともあります。

③甲状腺機能低下症

 全身でエネルギー利用を促す甲状腺ホルモンの分泌量や働きが不十分となる疾患で、代表例が「橋本病」です。エネルギーを利用できなくなった神経系や循環器系、代謝系など各器官の働きが低下します。これに伴って認知機能低下も起きます。
 甲状腺ホルモンの投与を行うことによって、症状改善が見込めます。

 いかがだったでしょうか。一口に認知症と言っても、ここで紹介しきれないほど、原因は実に多彩です。
 素人が見分けることなど絶対に不可能ですから、とにかく早めの専門医受診を心がけてください。

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