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運動不足 なぜ悪い?

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。


個別の理屈、色々あります

 運動不足が健康に悪い理由の代表例として、以下のようなものが挙げられます。
①筋肉が衰える
 刺激や栄養、休養が足りないと再構築の度に筋肉が細っていきます。その重要性を今さら説明する必要はないですよね。心臓だって筋肉でできています。筋肉が衰えるということは、全身の機能が衰えることに近いものがあります(ただし特に心肺の悪い方は、短絡的に運動を始めないでくださいね)。
 加えて筋肉は、体の部位の中でも消費エネルギーの大きい部位なので、筋肉が減れば消費エネルギー量(基礎代謝量)も減ってきます。結果として、摂取カロリーが同じでも食べ過ぎ(10年3月号参照)たのと同じことになります。
②骨がもろくなる
 骨の重要性も言うまでもないでしょう。骨がもろくなると、体を支えられなくなるので、さらに運動不足の悪循環が起きます。転んで大腿骨頸部骨折や腰椎の圧迫骨折でもすれば、寝たきりにつながりかねません。また、常に骨の再構築よりも分解の方が多い状態だと、神経細胞などの活動に決定的に重要な役割を果たすカルシウムの体内貯蓄が足りなくなります。
③動脈硬化が促進される
 運動をすることによって、血管の内側を修復するようなホルモンが出てくると分かっています。ホルモンの出が悪いと、血管の内側にカスが溜まって老化が早まります。動脈硬化は、心臓発作や脳卒中などを引き起こす大きな要因です。
④インスリン抵抗性が出る
 糖分を血中から細胞内に引っ張り込むホルモンのインスリンは、運動した時の方が効きがよいと知られています。効きが悪くなると、その分たくさんのインスリンを分泌しなければならなくなって、膵臓のベータ細胞がへたってくるので、2型糖尿病に近づいていきます。糖尿病の先には、さらに致死的な疾患がつながっています。
 
 このほか、運動によって上がったり、下がったりするという仮説があって健康状態に影響を与えそうな因子は、下の表をご覧ください。
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介護保険と運動  要介護状態になることを防ぐ、あるいは遅らせるため、「要支援」の方々を対象に行われる「介護予防給付」の中に運動療法が含まれています。  認定を受けてからでは予防にならないという批判の声も時折聞かれますが、実は、元気な高齢者を対象に運動の機会を提供することも「地域支援事業」として認められています。ただ市町村によって取り組みに差がありますので、詳しくはお住まいの役所の介護保険担当にお尋ねください。

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