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これでよいのか、木材の放射能基準
坪倉正治医師(司会):
林先生ありがとうございました。森林があるおかげで、福島県が守られたかもしれない。しかし、それがあったにも関わらず木材の安全性の担保であるとか、その後の賠償の問題がしっかりしていないことであるとか、それによって、森林破壊が進んでいて、守ってくれた森林自身を今度は人間がしっかり守れていないような構図があるということをお話しいただきました。会場の方からご質問・コメント等ございましたら挙手をお願いいたします。
会場:
森林の除染はどのように進めるのでしょうか。下草・灌木もみんな吸い上げて、それをどういう風に一体処分するのか。地面も高濃度に汚染されている。とても不可能ではないかとういう感じがいたしますが。
林:
非常に難しい問題です。今ほとんどの放射能は容積としては非常に大きいものに集積されていますので、どこかに廃棄するならば燃焼させて濃縮させて排出するということが必要だと思います。ただ、燃やしますと、フライアッシュがバッと飛びます。フライアッシュが飛ばない方策について、私も色々調べました。例えば、スウェーデンに行って調べてみましたら、向こうのレベルは結構低いんです。毎回燃やしている木材は、キログラムあたり1,000Bq以下です。日本の場合は超えていますので、いかにしてフライアッシュを集めるか。これは日本の技術がある意味では問われているのではないかなと思っております。
会場:
安全宣言に対して、何かアクションを起こしている例というのはあるのでしょうか?
林:
私もこれについて随分悩んでいまして、例えば私も友人が森林総研とか林業技術センターにいます。そういう人にも話をしています。最近ですと、つい2週間前に林野庁を訪問いたしました。林政部長さんにお会いできることをお願いして訪問したのですけど、やはり現実的に林政部長さんはちょっとお忙しいということで会ってもらえなくて、いわゆるその下の方たちと話して、やはり安全ですという、まあ決まり文句を聞いて帰ってきたというのが本当のところであります。現在のところはそれ以上のことはまだ進んでおりません。
坪倉:
フライアッシュについては、ベラルーシでも同じことを言われました。内部被曝に関してはほとんどが食べ物であることはほぼ間違いない。ただ、薪を使う職業だけは気をつけろと言われました。フライアッシュのことなんだろうという風に思います。
会場:
産經新聞の道丸と申します。賠償が全然ないというお話があって、これも例えば国だけじゃなくて東電からの賠償で、いわゆる林業で生計を立てていた方たちへの賠償というのはどうなっているのか? それについて不勉強でちょっと存じ上げないのでもしご存知だったら教えて下さい。
林:
これは私の予想ということで聞いていただけますか? 多分ですね、今年度中に県か国からの取り決めなんかも入って、賠償の大体大まかなところは決まっています。いわゆる住めない、例えば林地に入れないという所は完全に多分賠償だと。植えてある杉一本一本にいくらか賠償があると。ところが、林地に入れる、あるいは住める、あるいは林地に入れるけど住めないとか色々あるんですね。そういう所の杉一本一本についての賠償というのはどうなるのか私は全然分かりません。今農家の方たちはどうなるのかというのを固唾を呑んで待っているというところであります。