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認知症を知る12 介護のストレス和らげるコーピング
※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。
それは一体何?
「コーピング」という言葉を初めて目にした方もいると思いますが、医療福祉の分野ではよく知られたストレス対処法です。
ストレスを受けている本人の認知や行動によって外部のストレス要因や、それがもたらす内部の感情に働きかけ、ストレスを除去したり緩和したりすることを指します。
大きく分けて、情動焦点型コーピングと問題焦点型コーピングとがあります。
前者は、ストレス状況に置かれた時に生じるネガティブな情動を、回避や静観、気晴らしなどで軽減しようとするものです。
このうち積極的認知対処は、自分自身の感情をコントロールしたり、ストレスとなる出来事に肯定的な意味を持たせたりといった認知行動療法の一つの技法として確立されています。それ以外の自責・希望的観測・回避といった方法は、不安感や抑うつ感を増強させ、好ましくないとされています。
後者は、問題の所在の明確化や情報収集、解決策の考案など、問題解決のための環境や自分自身を積極的に変化させようとするものです。
この方法を用いる人は、あまり用いない人と比較して、同じ出来事を経験してもストレスと感じづらく、抑うつ的になったり、不安に感じたりすることが少ないと言われています。
その中でも特に「問題解決」を選んだ場合、介護される側にもメリットがあったというのが、今回の研究報告になります。
それぞれどういうことかを下表で簡単に紹介しましたが、実際のテクニックはもっと複雑なのと、学んでおけば人生の様々な場面で生かすことができるものなので、興味をお持ちになったら、勉強してみてはいかがでしょう。
今回の研究報告の内容2013年1月の『The American Journal of Geriatric Psychiatry』誌に報告された論文です。
米ユタ州キャッシュ郡で地域に住む認知症患者と介護者計226組を半年ごとに最大6年間追跡したところ、問題解決型コーピングを日常的に行っている介護者のパートナーは、認知症の進行が顕著に遅いという結果になりました。
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