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免疫 きほんのき1

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主役は白血球

 食細胞から始まった私たちの免疫は、進化を経てより多くの種類の細胞によって担われるようになりました。それらが「白血球」です。白血球って、血液細胞の中で、免疫を担当しているものの総称だったんですね。血流等に乗って全身をパトロールするというのは、かなり合理的なやりかたかもしれません。
 そんな今もなお、食細胞は体内の異物に対する初動部隊。あらゆる人に生まれたときから備わっていて、『非自己』を見つけ次第働きます。このような働きのシステムを「自然免疫」と呼んでいます。
 自然免疫のメインプレーヤーは、食細胞の「好中球」や「マクロファージ」。好中球は、細菌などが侵入すると真っ先に集まってきます。ケガの傷口に生じる膿は、細菌との戦いで死んだ好中球の死体が主な成分です。マクロファージは、姿も作用も、単細胞生物の名残をもっとも強く残していることが知られています。動脈硬化を進行させるものとして耳にしたこともあるかもしれませんね(コラム参照)。
 ただ、好中球やマクロファージは万能でなく、血液中に流れる毒素やウイルス、細胞の中に入り込んだ病原体などを感知できません。そこで先ほども説明したような白血球たちの出番となります。

学習する免疫

 最たるものが、リンパ球。名前くらい聞いたことがあるかと思いますが、実はさらに、「B細胞」「ヘルパーT細胞」「キラーT細胞」「ナチュラルキラー(NK)細胞」などに枝分かれしています。
 このうちNK細胞は例外的に自然免疫系です。残るリンパ球は、非自己なら何でもかんでもというわけではなく、それぞれの病原体を1種類ずつ(特異的と言います)認識して排除を行います。さらには、それを記憶し、再び同じ病原体に出会ったときにすぐに認識・排除に移れるようになる、という特徴があります。これは、「獲得免疫」と呼ばれます。簡単に言えば、「はしかに一度かかると、もうかからないか、かかっても軽くすむ」というおなじみの現象です。
 敵の侵入から数時間で発動する先陣部隊の自然免疫に比べ、獲得免疫の立ち上がりはのんびりで数日かかります。が、一度覚えた敵には圧倒的強さを発揮します。
 これをうまく利用したのがワクチン。毒性を弱めたり死滅させた病原体を接種、免疫細胞にあらかじめ記憶させ、襲来本番に備えるのです。皆さんが普段から「免疫」としてイメージするのも、この獲得免疫の方ではないでしょうか。
 いずれにしても、私たちの体内では、自然免疫と獲得免疫、両者が協働して『自己』と『非自己』を見分け、『非自己』を認識・排除していることになります。

マクロファージと動脈硬化 血液中で酸化したLDL(悪玉コレステロール)をマクロファージが丸呑みしていくうちに、マクロファージ自身が膨れ上がって死に、血管の内壁にたまっていきます。そうして血管が厚く変質し、結果として動脈硬化が進んでしまうのです。もちろん、マクロファージが悪いのではなく、LDL過剰が問題という点は、どうぞ誤解なきよう。
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