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薬事審査は何のため?

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

~安全性・有効性は担保されるのか~
(シリーズ どうなってるの予防接種!?)

 前回、単抗原不活化ポリオワクチンについて、単なる輸入ではなく薬事承認を経たら1本あたり4000円以上高くなったということを説明しました。薬事承認は、それだけの価値があることなのでしょうか。

 薬事承認(そのため審査が行われます)は当然のことで、それを疑問視するなんて、と驚いたかもしれませんが、そもそも審査と承認の意義とは何なのでしょう。昨年10月に開かれた『不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会』で、厚生労働省の赤川治郎審査管理課長が説明しています(コラム参照)。

 回りくどい言い方ながら、要するに有効性と安全性を国内のデータで確認する必要があるということになります。

必要な症例数ケタ違い

 有効性と安全性を確かめなければならないのは当然のこと。本当に確かめられているのであれば、その意義を疑うのは罰あたりというものです。

 しかし、確かめられていないとしたら、どうでしょう。

 思い起こしていただきたいのは、不活化ポリオワクチン導入の原因となった生ワクチンによるポリオ発症は、多く見ても100万人あたり数例だったということです。これは何百万接種もしてみないと確実には検出できない確率です。

 今回の単抗原不活化ポリオワクチンで行われた国内治験の症例数は、僅か74例に過ぎませんでした。つまり、生ワクチンによるポリオ発症のような低頻度の危険性は全く検出不能なのです。

 ただ、だからといって不安になる必要はありません。全世界を見渡すと、このワクチンは日本以外の86カ国で計2億7千万接種以上、30年の使用実績があるからです。

 治験の74例など使用実績と比べれば誤差未満の数であり、実施する意味があったのでしょうか。ワクチンの日本導入を遅らせ単価を驚くほど高くした以外に、今回の薬事審査の意義を見出すのは難しいと言えます。

4種混合は実績ゼロ

 薬事審査の意義が問われる事例は他にもあります。

 単抗原不活化ポリオワクチンを追いかけるように7月末、DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)3種混合と組み合わせた国産の4種混合ワクチン2種が承認されました。11月から定期接種で用いられることになっています。

 こちらの治験(第3相)実施症例数は、247例(製品名テトラビック)と221例(製品名クアトロバック)でした。単抗原ワクチンの3倍ほどの症例数とは言え、想定しなければならない危険の頻度から考えて、やはりケタが全く足りません。

 そして実は、このワクチンは、世界中を見渡しても使用実績ゼロなのです。ポリオウイルスの株が、これまで生ワクチンに使われていたのと同じもの(セービン株と言います)で、国際標準品(ソーク株)とは異なります。また医薬品として使用実績のない添加物も含まれています。

 ということで、少なくとも4種混合ワクチンについて現段階で安全性は科学的に担保されていません。市販後にメーカーが行う調査も、気休め程度の750例ずつです。

 つまり、実際に定期接種で使いながら、安全性を確かめていくということなのです。見方によっては、多数の国民を実験台に、国産の独自規格を導入しようとする承認審査だったということになります。

 日本からワクチンを産み出していこうとすれば、現実的には国民に実験台を引き受けてもらうしかありませんし、そうすることが危険だと煽るつもりも毛頭ありませんけれども、その辺りをきちんと国民に知らせる必要はあるのでないでしょうか。納得ずくで引き受けてもらうには、それによってどのように国益が増すのか(増さないなら論外です)の説明も欠かせないでしょう。

 ところで、この問題について、細田満和子・星槎大学共生科学部教授は、医療ガバナンス学会発行のメールマガジンの中で、次のような指摘をしています。

「ワクチンの場合は、(中略)通常の医薬品のように自由競争で開発が行われるのではなく、護送船団方式で国内のワクチン・メーカーを一堂に集めた集団指導もいまだに行われているということです。(中略)このようなワクチンの特殊性は、厚生労働省が長らく国産ワクチンに拘り、国内メーカーを保護しつつ海外メーカーの参入障壁を設けてきたことによるものです。この保護政策によって、かつては優秀だった日本のワクチン産業が時代遅れのものとなって、周知のように先進国とはとても思えないほどのワクチン・ギャップを産む温床となりました」

 薬事審査の意義が、よく分からなくなってきました。このワクチン行政で、本当に国益は増しているのでしょうか。

検討会での赤川・審査管理課長の発言

 薬事法という法律に基づいて、その品質、有効性、安全性ということを確認する必要がございますので、現在、国内でのいわゆる臨床試験としての試験成績というものが集積していない状況でございます(中略)国内でのデータも含めまして、御提出していただいて、それについて有効性、安全性を確認するということが薬事法の観点からはどうしても必要でございます(後略)
 薬事法に基づいた審査をなぜやっていますかと申し上げますと、やはり皆さんが個人的に使うのではなくて、広く国民の皆さんにお届けする前に、これは製造物として供給をするメーカーあるいはインポーターの方々が、勿論、外国のデータも含めまして、国内のデータも併せてワクチンの品質、有効性、安全性について確認しまして、それを第三者的に私どもも確かに誤りがないのかというプロセス、製造、販売後にどういった注意が必要かという、これは添付文書の形になっておりますけれども、そういった内容も含めまして、有効かつ安全に使っていただくためのプロセス。そのプロセスの内容については、国民の皆さんに知っていただけるように、今、審査報告書などをつくるといった意味で添付文書も勿論ですけれども、そういったことを透明化するプロセスとしてどうしても薬事法上のそういうプロセスというものがある(後略)。

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