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良い歯科医は金の草鞋を履いてでも探せ

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 西日本新聞に、『アルツハイマー 歯周病が誘発 九大、関与の酵素特定』という記事が出ていました。興味を引く見出しの一方、今イチよく分からない記事なので、元資料に当たってみました。

 ああなるほど、と思った一方で、

カテプシンB特異的阻害剤は歯周病によるアルツハイマー病の発症と症状悪化を阻む可能性がある
というのは、何とも費用対効果の悪いアプローチだなと思いながら読み進めたら、「研究者からの一言」にちゃんと
カテプシンB阻害剤を期待するより、まずは口腔ケアが重要です。
とあって、ホっとしました。

ロハス・メディカル編集発行人 川口恭

 ちなみに、ジンジバリス菌(Pg菌)は繁殖に鉄を必要としており、つまり歯周病によって出血すると、その血液中の鉄を使って一層繁殖が進むという関係にあります。そもそもPg菌を繁殖させなければ、つまり歯周病をちゃんとコントロールしていれば、カテプシンBのことなど気にする必要はないわけです。

 歯周病は原因不明の不治の病でも何でもなく、セルフケアとプロフェッショナルケアを適切に組み合わせれば充分にコントロール可能であることが分かっています。そして、口の健康を気にするのは、国民皆保険を守る第一歩でもあります(ロハス・メディカル2017年4月号参照)。

 ただし、プロフェッショナルケアは、歯科医と歯科衛生士の助けがないと受けられません。その意味で、歯科医に対する社会の不信感が強い現状(ロハス・メディカル2017年3月号参照)は色々な意味で不幸です。求めれば良い歯科医と出会える、そんな状況を作るべく既に画策を始めておりますが、当分は各自で良い歯科医・歯科衛生士を見つけていただく必要があります。

 認知症になるリスクを下げてくれるわけですから、良い歯科医を探す手間を惜しむなんて、勿体ないですよね。

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