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もし科学者がドラッカーの『マネジメント』を読んだら

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 『もしドラ』って知っていますか? 「ドラ」はドラえもんのことではありません。オーストリアが生んだ現代社会最高の哲人であり、経営学の大家、ピーター・F・ドラッカー(1909-2005)のことです。「もしドラ」は高校野球の女子マネージャーそのドラッカーの名作『マネジメント』を読んで甲子園をめざす青春小説、『もし高校野球の女子マネージャーが
ドラッカーの「マネジメント」を読んだら』の愛称で、本の売れないこの時代になんと、180万部以上売り上げたという今年の大ベストセラーです。

(2010年12月、【山大GCOEコホート通信】vol.7 コラムとして配信)

成松宏人 山形大学グローバルCOEプログラム 先端分子疫学研究所 准教授

 物語は、「程高」に通う普通の女子高生の「みなみ」ちゃんが、ひょんなことから、弱小野球部の女子マネージャーになることから始まります。私は、この本をきっかけにして組織のマネージメントに再び脚光が当たったのは、私たち医学研究者にとっても非常にタイムリーなことだと考えています。

 程高野球部は弱小で、練習も部員はサボりたい放題です。みなみちゃんは、最初は部員の野球に対する意識が低いという、個人の問題と考えていましたが、次第に「マネジメント」を読み進めていくにしたがって、もっと根源的な問題、つまり野球部の練習に魅力がないということに気づきます。そして、魅力的な練習メニューの作成に取り組み......といったお話です。

 私個人がみなみちゃんに最も感心したことは、部員が練習をサボっている惨状をなんとかしようと考えたことです。私にも覚えがありますが、ここで思考停止することが日常生活では実際には少なくありません。「部員の意識が低い」、「顧問の先生が悪い」、「学校が悪い」、「高校野球の大会の運営が悪い」など、思考停止するための理由が考えれば色々あります。会社にあてはめてみると「上司が悪い」、「部下が悪い」、「会社が悪い」はたまた「顧客が悪い」「時代が悪かった」などといったことにあたるのでしょうか。

 ヒトを活かし、チームや組織として最大限の効果を生み出すための考え方やその手法がマネージメントだとすると、医学・医療の世界では今までそれほど重視されてこなかったと私は感じています。当然、私も系統立って勉強したことはありません。しかし、時代は変わってきています。医療はチームで行うことが当たり前の時代になりました。医師だけではなく看護師やその他様々な職種のスタッフが連携して患者さんの治療に当たる時代です。医学研究も同様です。とくに、医療の進歩をめざすような「メディカル・サイエンス」の分野では、1人の天才科学者が試験管を振って大発見をするというような時代から、組織的に大規模な研究をしてかければ十分な成果が得にくい時代になりました。当然、私たちの山形分子疫学研究もこれにあたります。たとえ個人の力は小さくても、一人ひとりの力を合わせて世のためになるような大きな仕事をしようという研究です。今後、マネージメントは医学・医療の分野でもますます重要になっていくのでしょう。最近『もしドラ』を読んで強く私は感じました。

 さて、みなみちゃんと程高は念願の甲子園出場を果たすことができたでしょうか? 続きは、本をとって確認していただきたいとおもいますが、その一方で、私たちの研究のオーダーメイド医療への道は始まったばかりです。引き続きのご支援のほどよろしくお願いいたします。

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