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SNSという、摂食障害者にとっての諸刃の剣
つらい、でもやめられない摂食障害で苦しんでいるあなたに、伝えたい話があります。
こんな記事がありました。
「SNSのやりすぎ摂食障害招くかも」(ロハス・メディカル2015年11月号より)
「メディアに登場する過度に痩せた女優やモデルの影響で、女性の自分の体に対する不満が著しく増加し、不健康な行動や過激なダイエットに発展しやすくなる」「メディアの形態は問題でなく、お茶の間のテレビでも、雑誌でも、パソコン画像でも、影響があるそうです」(記事より抜粋)
これ、本当にその通りですよね。
ロハス・メディカル論説委員 熊田梨恵
ブログで約15年間摂食障害だったことをカミングアウトした筆者ですが、20代の頃はいつも他人と自分を比較していました。テレビや雑誌に出てくる女優やモデルの細い二の腕、細くて長い足に憧れ、そうじゃない自分を思うたびに自分が嫌になりました。そしてイライラしてきて過食し、でも太ったら困るから嘔吐しました。
テレビや雑誌は、化粧品やサプリメント、ダイエット用品をこれでもかと宣伝しながら、同時にスイーツ・グルメ特集なんかもやるわけなので酷いですよね。私たちのことを考えてくれているように見えて、これっぽっちも考えてくれていない。
「綺麗になれ、痩せろ、だけど食え、太ったらダイエットしろ」と見えない大きなものが恐ろしい勢いで飛び掛かってくるように感じられました。
でも女優さんやモデルさんは他人なので、まだマシだったかもしれません。
ツイッターやFacebook(その前はmixiでした)で、他人の生活(といっても、本人が『他人に見せたい』と選んでアップする内容ではあるのですが)が簡単に垣間見えるようになると、さらに強く自分と比較しました。美人だな、可愛いなと思っている女性の写真や私生活が書かれていると、知っている人だからこそ、比較がリアルになるのです。そのせいで自己否定が強くなったものです。
それなら見なければいいと思うのですが、気になって見ずにはいられないですよね。
元々自分で自分を認められず、他人と比較することでしか自分を見出せないタイプの多い私たちには、SNSは良くも悪くも非常に刺激的なツールですよね。調子のいい時は、自分のいい状態を他人に伝えられるし、それにコメントがついたら自分が認められたような気になって嬉しくなります。だけど、コメントがつかなかったら自分が否定されたような悲しい気持ちになったりします。調子の悪い時には他人の投稿にイライラしたり、一喜一憂したりします。
私もSNSによって何度も追い詰められました。
つらかったです。
でも、やめられなかったんですよね。
上記の記事を読んだら、SNS利用者は非利用者に比べて自分の体に対するイメージが良くない、そういう人が多いそうです。SNSが体のイメージを低くしているかもしれないという可能性にも言及していました。
私もそうでしたし、これを読んでくださっているあなたも同じかもしれません。
SNSによって同じようにつらくなっている、そういう女性たちがたくさんいるんですね。
記事後半の「自分を肯定する」というのは、現在摂食障害のあなたにはちょっとつらい内容だと思うので、読まずに飛ばしていいと思います。頭では分かっていることばかりだと思うので(想像ですが、筆者の大西睦子氏はそれも分かった上で書いておられると思っているのですが)。
私はこの投稿で、SNSのやり過ぎは良くないからやめよう、などと言う気は毛頭ありません。
ただ、摂食障害のある人や自己肯定感の低い人は、虜にさせられてしまう可能性のある諸刃の剣だと感じています。
だから、摂食障害で、SNSで、同じように苦しんでいる人がいるよ、一人じゃないよと、そのことを伝えたかったんです。