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小学生への「がん教育」報告

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対話と会話が違う?

写真2.jpg 会話ではなく対話とはどういうことか、ということは、樋野先生が講演中にお話になっていました。本講演のテーマの1つでもあり、健康人と病人が一緒にいるとき、この対話が大事なことだと教えていらっしゃいました。
「病気」のことを知り、「病人」のことを知ることは、必要ならば自分で調べることができます。知識や情報は、勉強すればいくらでも手に入る時代です。でも、その勉強だけでは判断できないことや、勉強したことをどう活かして病気で苦しんでいる人と接すればよいのか、それがわからないからこそ、しばしば人間は立ち止まって悩んでしまうのです。
 がんの患者さんは、がんそのものを知って自分に接して欲しいと思っているのではなく、がんを患っているけれど一人の人間として自分を理解されたいと思っています。
 この違いは、教科書に沿った授業形式では小学生に理解させることは難しいです。ですが、がんとはまだ縁遠い小学生の年齢だからこそ、今回の授業のような機会を設けて、専門家から学ぶことが大切なのではないでしょうか。きっと今後の学習過程にプラスの影響を与え、社会にでていく子どもたちの財産になっていくことでしょう。

小学生はがんにどのような関心を持っているか?

 講演の最後は、小学生からの質問に樋野先生が答えるコーナーになっていました。司会者が「質問がある人」と言った途端、たくさんの手が真っ直ぐ上に挙がりました。そして、会場にいた大人たちはみな質問の内容に驚きました。いまどきの小学生、やるじゃん! 子ども扱いしていてごめんなさい、と思わず私はつぶやいてしまいました。
 司会者がこれでおしまいにしましょう、と言って打ち切らないといけないくらい、次から次へと質問は出てきました。がん領域にはまだわかってないことが多く、専門家であればあるほど答えにくいのですが、一つ一つ樋野先生が回答をされていました。

 大人顔負けの立派な質問の一部を、下記に列挙しておきます。

・がんを防ぐには、どのような方法があるか
・どれくらいの大きさのがんならば、治るか
・タバコを何本吸ったら、がんになるか
・がんの種類は、どれくらいあるか
・動物にも、がんはあるか
・からだのどの部分にできるがんが、よくないのか
・がん治療は、昔と比べてどこが新しくなったのか
・ニンニクの成分ががん細胞に効くと聞いた。どれくらい小さくなるということか。

参加した大人の方は、がん教育に対してどういう感想を持たれたのか?
 
 子どもたちの後方で聞いていた大人は70名ほどいらっしゃいました。わが子が前で聞いている保護者の方や、子どもと接する指導員をされている方が勉強のために参加されていました。そこで、講演後に一部の方から感想を聞かせていただきました。

<参加した大人の方の感想>

・子どもたちが、こんなに質問をするとは思わなかった。
・子どもにがんについて質問されることがある。でも、自分は答えられないし、答えられる人が身近にいない。
・専門家は子どもたちにちゃんと向き合って答えてくれる。
・またぜひ講演会を地域で開催して欲しい。
・今日一日、とてもあたたかい気持ちになれた。

 子どもたちをしつけて教育する側の大人も、がんを通じて何を伝えたらよいのか、正直わからないことが多々あると思います。
 教育とは何なのか。知識を教えることなのか、病気の人の気持ちを理解させることなのか、病気であっても一緒に暮らせる社会をつくることを教えることなのか。
 また、子どもたちが本当は何を聞きたがっているのか、それにどう応えればいいのか。きっと参加された大人の方々も、がん教育を通じて、がんの領域を超えた人間学について考えながら、講演を聞いていらっしゃったことでしょう。

 今回は、樋野興夫先生と国立市教育委員会教育指導支援課の方にお世話になりました。有難うございました。他でもがんの教育をなさることがありましたら、ロバスト・ヘルスまでお知らせください。健康と教育について、これからもロバスト・ヘルスで考えていきたいと考えております。都合がつき次第、取材をさせていただきたいと思います。

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