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睡眠のリテラシー64

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

高橋正也 独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所 産業疫学研究グループ部長

 皆様の中で最近、徹夜をされた方はおられますか。先日、事情があって私は徹夜をしました。夜が白々と明けていくのを眺めるのは久しぶりでしたが、翌日以降は調子が悪くなり、カゼを引く羽目になりました。眠りを省いてはならないと、改めて実感したところです。

 そもそも徹夜は私たちの生活ではとても稀なことです。にもかかわらず、睡眠の研究では一晩の睡眠を丸々奪った上で心身がどのようになるかという実験をよく行っています。その結果は重要ではありますが、現実的にどのくらい意味があるかについて問われることがあります。

 夜間に全く眠らせないという実験は厳しいので、参加者は元気な若者である場合がほとんどです。学生のように、実験に参加する時間を確保しやすいことも一因でしょう。ただ、若者から得られたデータが中高年にどのくらい当てはまるか、大きな疑問が生じます。

 私たちの多くはもう少し長く眠りたいと願いながらも、色々な事情で数時間ほど短い睡眠をとっているというのが実情ではないでしょうか。第2回の記事でご紹介したように、例えば5時間睡眠を数日にわたって続けると、ランプが点いたらボタンを押すという簡単な検査でも、反応が遅れたり、反応し損ねたりするミスが日増しに増えていきます。

 しかも、このように増え続けたミス、つまり判断能力の低下は8時間の睡眠を数日とったくらいでは、解消しないことが確かめられています。
 徹夜を"大きな"睡眠不足とすれば、このような短時間睡眠は"小さな"睡眠不足とみなせます。小さな睡眠不足であっても、それが蓄積すると脳はしっかり働かなくなるし、回復に時間もかかるようになるのでしょう。しかし、こうした現象を明らかにした実験も20歳代から40歳代の若手が対象でした。

 フランスで行われた実験では46歳から55歳までの中年男性が参加し、一晩当たり4時間の睡眠を5日間にわたってとりました。起きている間に上述のような簡単な検査を行ったところ、1日目は平均で6回のミスがありました。2日目のミスは若干増え、平均で6.5回でしたが、それ以降増えることはありませんでした。なお、6日目に8時間の睡眠をとったところ、ミスはやや減って、実験1日目と同じレベルの6回に戻りました。

 中年男性では若年と違って短時間睡眠の間に、なぜミスが増え続けなかったのかは分かっていません。この実験から、中年男性は若年より慢性的な短時間睡眠に強いとは言えないでしょう。睡眠が短縮される前に、8時間睡眠をとってから行った検査では、中年男性は平均で5.5回もミスしていました。そうなると、普段から判断能力に難があったのかもしれません。

 もし中年女性であれば、どんな結果になったかも含めて、現実の生活により近い実験の成果が求められています。

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