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睡眠のリテラシー44

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

高橋正也 独立行政法人労働安全衛生研究所作業条件適応研究グループ上席研究員

 私たちは誰でも年をとります。もちろん健康に気をつけながら生活して、加齢による影響を少なくすることはできるかもしれません。であっても、年老いていくのは止められません。

 わが国の高齢化は尋常でないスピードで進んでいます。総人口に占める65歳以上の人口を計算すると、現在は25%になります。この数字は過去25年間の間に倍増しました。そして、今から10年後には30%に達すると見込まれています。このような増加は諸外国と比べると、著しいものであると分かります。

 加齢に伴って心身の機能は低下します。ただし、それが過剰に低下すると、日常生活を営むことが難しくなります。なかでも、脳の病気の一つである認知症は本人にとっても、家族にとっても深刻です。認知症が重くなると、食事、入浴、排泄、寝起きなど日常生活の基本的なことができなくなってしまいます。そうなると、介護が必要になります。

 自宅で介護する場合、昼間であれば家族の方は起きているので、適宜支援できます。それに対して、夜間は問題になります。もし本人が静かに眠ると、介護者も眠ることができます。ところが、認知症を持つ高齢者は睡眠の途中で頻繁に起きたり、(昼間に長く眠って)夜間はむしろ活発になるという昼夜逆転の起こることがあります。このような状況では介護者がぐっすり眠れるわけがありません(ロハス・メディカル2013年2月号参照)。

 在宅で介護を行う家族が安眠できないことは問題視されてきました。実際、睡眠がどのくらい妨げられるかを質問紙や腕時計型の活動量計を使って調べる研究が進められています。最近は、介護者の自宅で測定できるほどに小型の生体信号収録装置も利用されています。脳波、眼球運動、筋電図などを同時に記録し、睡眠の量と質(深さ)を客観的に測れるのがこの装置の利点です。

 米国の研究では、自宅で家族を介護する高齢者20名とそうでない高齢者20名(ともに9割は女性、年齢は65歳)を対象に、本人の自宅で上記の検査装置を用いて、夜間の睡眠を測定しました。

 その結果、ベッドにいる時間や実際に眠っている時間に差はありませんでしたが、介護に携わる高齢者の方が、寝つくのに2倍長くかかり、浅いレム睡眠が3割多く、ノンレム睡眠は2割少ないことが分かりました。これらのデータは、質の良い睡眠が安定してとれていないことを示しています。

 このような睡眠が長い期間にわたって続くと、精神的にも肉体的にも参ってしまうでしょう。事実、同時に調べたストレス度や抑うつの症状は介護を行う高齢者で強いことも確かめられました。

 介護を受ける側、提供する側ともに65歳以上という「老老介護」は既に行われています。愛する家族とはいえ、元気でないとうまく介護できません。介護はどの面から見ても、睡眠がカギになります。

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