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1回の血液検査で4年後の糖尿病が占える?!

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発症すると決して治ることのない糖尿病。だからこそ予防は非常に重要です。近い将来に糖尿病を発症するリスクを簡単に予測出来たら、手遅れになる前に生活改善するきっかけが得られるに違いありません。

堀米香奈子 ロハス・メディカル専任編集委員

実はそんな技術が既に開発され、実用化されています。味の素(株)が開発した「AILS(糖尿病リスク)」というものです。先月のことですが、プレスセミナーに参加してきました。

回し者ではありませんが、ざっとご説明すると、

●「AILS(糖尿病リスク)」は、"4年以内の糖尿病発症リスク"を評価するツール。
●人間ドック受診者7,703名の血液中のアミノ酸濃度バランスを測定し、4年以内に糖尿病を発症した人と発症しなかった人との違いを統計的に解析したところ、両者にかなりの類似性が見られた(図)ことを応用したもの。
●同社では、血中のアミノ酸濃度バランスから、現在がん現在がん(胃がん、肺がん、大腸がん、膵臓がん、前立腺がん、乳がん、子宮がん・卵巣がん)である可能性を統計的に評価する「AICS」を2011年に実用化。現在、全国1300カ所の医療施設で導入されている。

とのこと。

AILS.png

なぜ血中のアミノ酸濃度バランスから糖尿病の発症が予測できるのでしょうか。ポイントはインスリン抵抗性によって、体の組織・器官と血液の間のアミノ酸の出入りに以下のような変化が生じることのようです。
・筋肉では、タンパク質分解(筋肉減少)が進み、血中へのアミノ酸供給が増加
・脂肪では、BCAA(分岐鎖アミノ酸)利用が低下
・肝臓では、糖原生アミノ酸※の取り込みが増加

※糖新生(血中のブドウ糖量が低下したときに、肝臓でブドウ糖を作り出す仕組み)に使われるアミノ酸のこと

糖尿病を発症する人は、4年前の時点で既にインスリン抵抗性が生じ始めているのでしょう。その結果、血中アミノ酸の濃度バランスが、糖尿病の人と同じ状態になっている、というわけです。ただしこの「4年」というのは、研究の追跡期間に依存しているそうです。研究の進展次第では、もっと以前から予測可能と言えるようになるかもしれません。

インスリン抵抗性というと、主に血糖との関係ばかりが注目されがちですが、アミノ酸(タンパク質)の代謝や利用にも大きく関わっているのですね(ロハス・メディカルでまとめています⇒こちら)。AILS、試してみたい気もしますが、日ごろ甘い物にちょこちょこ手を出して膵臓を疲弊させている自覚のある私には、ちょっと怖いツールでもあります。


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