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ぽっちゃりモデルが摂食障害を救う!?

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今日のネットニュースで、"ぽっちゃり"モデルが昨今なぜ人気なのかについて、米フロリダ州立大学の研究が紹介されています。

読んでみて、ぽっちゃりモデルの起用は、企業にとっても消費者側にとっても、そしてモデル本人にとってもメリットが大きいと分かりました。つまり社会にとって有益、みんなが幸せ(winner)になれるスゴイ選択肢なのでは...? 

堀米香奈子 ロハス・メディカル専任編集委員

同研究では、「現在平均的な体型でありながらも今よりも痩せたいと望んでいる49人の女子大生」に、衣料チェーンの様々な広告モデル(痩せ型~標準~ぽっちゃり、ただし極端な肥満ではない)の写真を見せたところ、

痩せているモデルを目にした際:
より自分の体型を強く意識する一方、モデルを細かく見ていないため印象が薄く、あまり記憶には残っていなかった

標準体型と"ぽっちゃり"モデルを見た際:
広告の対象物を細かく見ており、記憶にも強く残っていた。自分の体型のことはあまり意識しないで済み、現在の体型に対する満足感が高まる傾向にあった。

という結果になったそうです。このことから

自分の体型を気にしている若い女性の間で特に人気を集めている実態

が見えてきて、

彼女たちは"ぽっちゃり"モデルを見て自分を責めなくていいと感じ"癒されて"いるのである。

と結論づけています。

要するに、ぽっちゃりモデルを見ると、自分自身のボディイメージに対して肯定的な見方が強まり、安心する、ということ。

ボデイイメージとは「心に写る自分の姿」で、否定的になると、自尊心が低くなり、摂食障害やうつ病のリスクが高まることが分かっています。若い人たちの間に急速に浸透したSNSが、これを助長している可能性についても、ロハス・メディカルで以前取り上げています(こちら

そこへ今回の研究結果。ぽっちゃりモデルの起用はみんなを幸せにする、と思えてなりません。以下のような可能性が見えてくるからです。

●ぽっちゃりモデルは、対象消費者層の自己のボディイメージを肯定的にし、心身の健康をもたらす。

●企業としても、痩せモデルよりぽっちゃりモデルを起用した方が、商品に関心が集まり、記憶にも残るので、より高い広告効果が望める。

●ぽっちゃりモデル自身、自尊心向上と活躍の場を得ることができる。

●ひいては経済活性効果や、医療費削減も期待できるかも...?

将来的には、「ぽっちゃりモデル」という呼び方がなくなって、単に「モデル」とだけ呼ばれるような社会になるといいな、と思います。人々の価値観が本当の意味で多様性に富んだ、おおらかで窮屈でない社会、ということですよね。他にも生きづらい思いをしている人が生きやすい社会になっているのでは、と思うのです。

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