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難民受け入れに見る米社会の懐の深さ

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※情報は基本的に「ロハス・メディカル」本誌発行時点のものを掲載しております。特に監修者の肩書などは、変わっている可能性があります。

内側から見た米国医療16

反田篤志 そりた・あつし●医師。07年、東京大学医学部卒業。沖縄県立中部病院での初期研修を終え、09年7月から米国ニューヨークの病院で内科研修。12年7月からメイヨークリニック勤務。

 ミネソタ州はミャンマー、ソマリアを筆頭に、ブータン、エチオピア、イラクなど20以上の国から、毎年約2千人の難民を受け入れています。メイヨーがあるオルムステッド郡は、比較的多く難民を受け入れている地域の一つです。私の働く部署は、郡衛生局の難民健康センターと連携しており、研修を通じて難民医療を学びました。

 米国に移住する難民の多くは、難民キャンプなどで数年以上、時に10年や20年に及ぶ難民生活を強いられています。移住する前には、手続きに沿って結核や麻疹の検査を受け、必要に応じてワクチンや治療を受けなくてはいけません。無事米国に入国すると、受け入れる郡の担当者に連絡が届きます。国務省に承認された正規の慈善団体(VOLAGと呼ばれます)が主なコーディネーターとなり、郡の担当者と連絡を取り合い、地域への移住をサポートします。VOLAGには同じ国から来た人たちが働いていて、衣食住や移動の手助けなど幅広く支援します。

 難民には、移住してから8カ月間は合衆国政府から医療保険が提供されます。ミネソタでは、入国後すぐの健康診断を推奨しており、難民健康センターで包括的な診察や検査を実施しています。VOLAGと郡衛生局の担当者は、難民全員が最初の8カ月間にこの健康診断を受け、急を要する医療の問題を解決し、かかりつけ医を持てるように努力します。というのも、その期間を過ぎると無保険になってしまう人が少なからずおり、受けられる政府サービスも徐々に減ってしまうからです。

 難民の人々にとって、再定住は楽なものではありません。言語、地域社会への編入、国や医療のシステムの違いなど、あらゆる障壁が立ちはだかります。祖国で学歴や地位が高かったとしても、それが米国で役に立つとは限りません。例えば、祖国で医師だったにもかかわらず、最初の半年は全く仕事を得られず、スーパーでレジ打ちのバイトをせざるを得なかった人を知っています。今はメイヨーで(医師としてではなく)働いていますが、生活のためにはすべてのプライドを捨てる覚悟が必要だったと、その人に教わりました。むしろ、難民として入国し、安定した職を得られる人は恵まれている方です。

 長い難民キャンプでの生活や、家族を亡くした経験、祖国で拷問を受けた経験などから、心に深い傷を抱えている人も多くいます。再定住による大きなストレスから、精神に不調をきたす人も稀ではありません。そのような方にサポートを提供する支援団体や組織も存在します。

 私が研修を通じて感じたのは、30年以上続く難民受け入れの実績からくる知識の集積、地域に根付く移民コミュニティの広がりと、その懐の深さでした。特に、VOLAG、郡衛生局、地域医療機関が連携して、難民の人々の健康のため熱心に活動する姿勢には、感銘を受けました。このような土壌がアメリカの多様性を形作り、地域社会のつながりを生み出しているのだろうと、私には思えます。

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